未来を待った男 感想

電撃文庫MAGAZINE Vol.19掲載『未来を待った男』感想です。

『バタフライ効果に期待すると?』
『そうだ。クビになった学生が復讐の為にタイムマシンを完成させるかも知れない、じゃないか』

私の奇妙な友人は、タイムトラベラーを生み出したがった。

ネタバレを混ぜた感想ですので、ご注意ください。
これは良い青春小説っ!!
タイムトラベルSF小説でもあるんですけど、これは“青春”以外の何ものでもないと声を高らかに叫びたい所存です。
“恋”のはじまりを予感させるラストが最高に好きすぎるっ!
この爽やかな余韻が堪らなく青い青い春を感じさせてくれる、文句なしに素晴らしい青春物語でした。

語り手である左門が女性であることにはすぐに気づき、瀬川が未来を待つ動機にも思い至ったので、そこに関しては驚きはなかったのですが、回想に登場した老婆が未来の左門だったのには全く気付かず、またもやいるまんに敗北を喫しました。くそぅ。
でも、老婆になった自分を見た記憶、出来事は経験しているのに、告白される経験はしていないってのはどういうことなんでしょう??
この作品でも時間について面白い解釈がなされていましたが、『一番新しいもので上書きされる』と考えればいいんでしょうか?
それにしても、自分が体験した出会いを“最良の出会い”と言っちゃうとかもーたまりませんな。

この下り坂が、もっと長ければいいのに。

老婆にまできゅんきゅんさせられるとは! いくつになっても、人生は青春だよ!

・左門美弥子
超ドストライク。
美人で、白衣で、ロングで、研究者とかモロ好みですよ。
瀬川が一目惚れ(多分)したのも無理はないです。
さばさばした性格というか、性を感じさせない人柄もとてもポイントが高いです。実際、瀬川のように面と向かって話してたら意識せざるを得ないでしょうけど、読者視点から見ると、瀬川を良き友人として特別に大切に想っている彼女は本当に魅力的でした。
この短編のメインの美弥子さんは三四郎にとっては残念なことに、恋愛感情は欠片もない掛け値無しの良き友人であり、研究が恋人でしたが、そんな『この人、根っからの科学者だなぁ』と助手や下っ端くん達も抱いたであろう感想も含めて、自分は彼女のことが堪らなく好きになってしまいました。
瀬川の財布に恋してたんじゃないかってちょっと思ったりもしましたけどねw
どんだけタダ飯好きなんだよマジで。手羽先食べたくなってくるじゃないですか。そして、何故潰れてしまったしあの居酒屋。行きたかったのに。でも、何かを美味しそうに食べてるときが人って一番魅力的な顔になるんですよね(当社比)
くけけけって笑い方も変人じみてて気に入ってます。くけけ。
友人の一言をきっかけに、負けん気根性も発揮して、人生を捧げてまで、本当にタイムマシンを完成させてしまう情熱もすごい。すごすぎる。
瀬川の想いを知り赤面するところや『私』に嫉妬するところなど乙女な一面も垣間見えて、もだもだしましたが、どちらも老婆な美弥子さんでした。でもかわいい。
『瀬川』について研究する美弥子さんも見てみたいですものすごく。
でもね、男女間の友情ってのも良いものです。

・瀬川三四郎
彼もわっかりやすいくらいにベタ惚れしてました。入間キャラですなぁ。
海に連れて行くエピソードがめっちゃ好きなんですけど、自転車二人乗りで海まで行くとかなんだその青春っ!!! 羨ましすぎるっ!!!
遠回しっつーかかなりストレートなアピールだと思いますが、その程度では左門には通用しませんでしたね! 瀬川はめちゃくちゃ頑張ったんだろうなぁと、ああもう青春っ!!!
てか名城からケッタで海行くとかどんだけの距離漕いだんだよ。ねーよ近くに海なんて。青春片道切符かっ!!
海水浴客たちは突然現れた無精髭男と白衣美女に乱入されて意味がわからなかっただろうなぁ。
二人はすっげー楽しかったんだろうなぁ。スイカも(初めは)美味かっただろうし、仲良く入院するハメにまでなってるし。青春入院やね。
結局、彼の元に未来人が訪れることもなく、左門とは友人で終わってしまったけれど、彼女がそうであるように、彼にとっても彼女と過ごした青春はきっと良き思い出になっているんじゃないかなぁって、そんなことを思いました。

そして、チョウとなって羽ばたいた彼の元に、テキサスのトルネードとなった彼女が訪れて。
ここから。
これまでからとは違う、これからまでが。
新しい青春が、始まるのかもしれません。


クロスオーバーのコーナー!

19歳だった』のコウヤくんと左門の交友関係のきっかけが気になりまする。
同じ学科か同じ講義を取っているのかわかりませんが、左門と友人になったのはいつなんでしょうね?
写メ子ちゃんとつきあい始める前か後かで色々と妄想の広がりにも影響してきますが、このまま曖昧な方が良い気もします。
コウヤくんのことだから、酔った勢いでタイムリープのことだけじゃなく、その後のことを自慢気に、むしろそっちメインで話している姿が浮かびましたが、それ、普通にセクハラだからね?(その発想がセクハラだよ!)
でも、その場に写メ子ちゃんも一緒にいて「やだもぉーコウヤくん(仮名)ったらぁ」とか惚気出して左門がイライラしているの図もいいなぁと思いました、まる。
ここから時系列もはっきりして、左門と瀬川が三年生の現在は2011年となります。
あっきゅんとかと同い年ですね。

『アイで空が落ちてくる』の林檎さんはやっぱり並行世界移動に成功したものの、失敗したんですね。
研究室ごと根こそぎ持って行くとか凄まじすぎる。
ヤマトは特別な存在だったと。そういうことなんでしょう。
『アイで空が落ちてくる』も並行世界の話でありながら、時間軸がズレていてタイムリープもののような構造にもなっていましたけど、いるまん、そういうの上手いですよね。


素晴らしい青春小説、ごちそうさまでした。
とてもとってもおいしかったです。

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