みんなおかしい(ぼく含む) 感想

電撃文庫MAGAZINE Vol.21掲載『みんなおかしい(ぼく含む)』の感想です。

鏡の中にだけ映る、ぼくの彼女。

彼女と正面から見つめ合うこと。

それだけを願って、ぼくはずっと生きている。

ネタバレがバンバン飛び交いますのでご注意を。
(※8割ぐらい2011年当時に書いた感想になるので、ん? となる箇所があるかもしれませんがお気になさらず)

イラスト担当は『静電気の季節』に引き続き、庭さん。
とにかく、雰囲気が素晴らしい。
入間さんの世界観を見事に表現しきっていると思います。
ただ、今回はちょっと気になるところもあるのですが、それについては後ほど。

・読み終わった直後の感想
おぉーひさしぶりのダークテイストだぁ。でも、やっぱいるまんだなぁ……(しみじみ)

一言で言えば、『左目に恋した右目の話』でしたね。

・クロスオーバーについて
初っ端から『静電気の季節』の二人が!
しかも、恰好からして病院を抜け出してきたまさにその時のようで、同時期の話であることがわかります。
コアラのマーチにちゅーしてるとこ見られちゃってるよ、カールくん!
なかなか愉快なやつだ。って。良かったね!

居酒屋でオレンジジュース頼んで一人で騒いでる男が出てきた時は初め『ちょっと無敵、だいたいこども。』のコロシヤのことかと思いましたが、先程の時系列的に考えてありえないので関係ないかなと思ったら、木曽川だったよ!
そんなところまでコロシヤの影響受けてるとは。入間作品の若者はほとんど下戸やな。
種島くんは結構酒豪だったみたいだけど。
閑話休題。
なんと今回が初仕事だったようで。
人を殺したのは明らかに初めてではありませんでしたが。
でも、初仕事なだけあって余裕の無さが節々に表れていましたね。
いくらなんでも刺しすぎ……一人殺しただけで包丁一本ダメにしていては殺し屋失格ですね。
初仕事のターゲットとしては運が悪かったのか、それとも良かったのかはわかりませんが、ぼくも評価しているように木曽川は優秀な殺し屋になったんでしょう。
当時二十歳の彼がこの業界で三年以上生き残っているという事実がなによりの証拠です。
パチンコはキタロー直伝かな?とすると、スーパー直伝膝かっくんも習得しているのかが気になるところです。
依頼報酬額・三十五万円はこの時決めたんですね、きっと。
木曽川に依頼した人はぼくに感謝しなきゃですね。やっぱ安いですよ、三十五万は。
なんているか、リアルすぎる。と思います。

・オチについて
本作は色々とミスリードを誘うような描写がてんこ盛りでしたが、過去作で鍛えられた私を騙すには鍛錬が足りませんね!(何様)
というわけで、1個ずつ挙げていきましょう。

・ぼくの性別
ぼくの性別は“女”だと思います。
色々と根拠はありますが、決定的なのは飲み会メンバーの他3人が全員男だったと知って自分が連れてこられた理由を悟ったところです。
ぼく=男だと思ってると、ぼくに好意を寄せる女が誘っているというミスリードになる感じですかね。

ここで先ほどのイラストの件に繋がってくるのですが、あのイラストだとぼくが男として描かれているので、本編を読む前に先入観を植え付けられてしまいます。
実際、最初の方は普通に男だと思って読んでいました。
イラスト自体は素晴らしいのですが、今回に限っては『光の庭』のように背景のみのカットの方が良かった気もします。
初めからイラストも含めた仕掛けだとしたら素晴らしいと思いますけどねっ!

ちなみに結構早い段階でぼくは多分女なんだろうなということには気づいたんですが、人格は男で鏡に映った自分に恋する重度のナルシストなんだなと思ってました。
これもある意味ミスリード。

・“ぼく”とは誰か?
ラストでぼく=ミギメ=右目であることが語られ、物語は幕を閉じます。
えっ? つまり、どゆこと? となるわけですが、右目に宿った心=ぼく、と私は解釈しました。
宿った、というか右目そのものと言った方がいいかもしれませんが。
そう考えると、6歳まで云々という件は元々の身体に宿っていた主人格が6歳のある日、消えて(死んで)身体の指揮権が右目であるぼくに移ったと解釈できます。
1つの身体に2つの心が宿ったことでお互いの心が反発し、生存競争の中で圧倒的優位であった主人格にぼく(右目)は何度か精神を砕かれるも、ある日とうとう主人格の精神が砕け散り、ぼくが主人格に取って代わったと。

ぼくの性別は女だと言いましたが、それは肉体的な話で、精神的な話で言えば、ぼくは男性なんだと思います。
そういう意味ではイラストの男の子はイメージにぴったりです。

殺し屋もビビってましたが、脇腹と首を刺されても普通に動けて、滅多刺しにされても全然死ななかったのは、心が右目にあったから、なんでしょうね。
身体として繋がってはいても、完全に直結してはいないというか。
女が言っていた「色々とちぐはぐ」という表現は言い得て妙だったと思います。
右目を刺してたら、1発で殺せたのかもしれません……かもじゃなくて、絶対殺せたでしょう。

・殺し屋に託した依頼内容
単純に死体を人気のない場所へ運んでもらうだけではぼくと彼女は向き合えませんから、以下に挙げるどちらかじゃないかなーと。

1.身体を縦に切断して、向かい合わせにしてもらう
2.目だけくり抜き、一緒に並べてもらう

顔面を真っ二つに引き裂くというアイデアにインスピレーションを受けていたことを考慮すると、1の可能性が高そうですが、絵面を想像するとヤバイです。
2は1に比べてお手軽ですし、見た目もそんなに悪くないところがアピールポイントです(誰に向けてのだ)

・気になった点
ぼくが左目の無い西澤恵を見て「彼女に似ている」と感じているのはおかしくでしょうか?
包帯を巻いているので左目が無いことはわからないでしょうけど、それはつまり、西澤恵の右目を見て少し似通った美しさを感じているということになります。
鏡に映った左目=右目ってことなんですかね?
そこまで深く考えてないだけかも知れませんけど。

これは話には全然関係ないことなんですけど、名城大学から中京大学まで歩いて5分は無理があります。
走っても5分でつくかどうかって距離じゃないですか?
個人的にすごく気になりました(※ぼくは珍しく名城大学生じゃなく、中京大学生です)

・総評
実に入間主人公なミギメでした(目的のためには手段を選ばない的な意味で)
特に『たったひとつの、ねがい。』のダンタクヤと同じタイプと言えます。
何人も殺してるのに全然捕まらないところとか特に(それ以上いけない)
でも、『たったひとつの、ねがい。』がひたすら凄惨だったのに対し、この作品は耽美なラストがとても素敵だったと思います。
文句なしのハッピーエンドでした。

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