魔界探偵 冥王星O ウォーキングのW 感想

アクセス解析を見ていると、『越前魔太郎』で検索してここに来られる方が多いようなので、そういった初訪問の方たちに念押ししておきますが、このブログは基本的にネタバレ全開でお送りしています。
未読者への配慮とかそういったものは一切ありませんので、そこは心得ておいてください。

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(2010/04/10)
越前 魔太郎

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 僕の街の近くに、隕石が落ちた。
 同級生のワル(悪いことをするからワル)の提案で、深夜に家を抜け出して、それを見に行くことになった。ワルが、車いすであまり学校に来ない椎野君も誘って、いざ出陣となる。
 隕石が落ちた森の中まで、夜のピクニック。僕はこのとき、漫画でよくある冒険みたいでちょっとドキドキしていた。森の中で、あんな不思議で怖い出来事が待ち構えているとは知らずに。
 ふと、街で蔓延している変な合い言葉を思い出し口ずさんだ。
 メーオーセーオー。メーオーセーオー。

ちなみに、この越前魔太郎の『冥王星O』シリーズの感想については、Wの感想にVのネタバレとかも平気で出していく(逆も然り)のでご了承ください。
これは良いいるまんっぷりでした。ごちそうさま。以上、感想お終い。
なんていうか、匂いでわかります、匂いフェチ違うけど。
独特の息遣い?とでもいうか。
言葉に出来ない、けどこれを書いたのはいるまんだと思います。
Vを読んで、この『冥王星O』シリーズは色んな作家さんが舞城風に書いていく企画なのかなって思いましたが、そんなこともなかったみたいですね。
流石にこれを舞城さんが書いたと思われる方はいらっしゃらないでしょう。
でも、確実に舞城さんを意識してるっぽい箇所はありましたけど。
企画ものってことでいるまん成分も控えめになっているように感じました。
わかりやすく言えば、入間汁61%(果汁的な意味で)舞城ジュースって感じでした(←全然わかりやすくない。


いや、マタローの話ですよね、すいません。


ワル好きです。こういう悪いヤツなんだけど、なんか憎めなくてどこか良いヤツキャラは大好きですね。
こいつについてけばなんか大丈夫な気がするって思わせる、そんな大きな背中がかっこよかったです。
VもWもワルに憧れた二人が主人公になっているわけで、その存在感ははかり知れません。
Vでいきなり死んじゃいますが……。
WのあらすじとVの試し読みでこのトラックに轢かれたのって絶対ワルだろとか思ったんですけど、W読み始めてやっぱりこんないいやつが死ぬはずがないと都合のいい解釈に切り替えました。
三つ下の弟とか完全にわかりやすく仄めかされてるけど、言い切られてはいないし、まだ望みは……等という甘い考えは椎名君に一刀両断されました……。
いや、わかってたよ、わかってたけどさ、そんなにはっきり言わなくても……。

サトアキの母の虐待への諦観めいたものが入間作品の登場人物の特徴とも重なります。
学校でも空気扱いされているけど、それを苦痛に感じていないような外の世界に無頓着なところとか。
家族に対する気持ちの持ちようがどんなことをされていても、基本的に心からは憎めないところとか。
あと、一行目の『ぼくは死体をよく噛む癖がある。』っていう一文がどうしても良く分からないんですけど、これって誤植なのかな?
後々分かるのかな?と思ってましたが、結局読み終わっても分かりませんでした。
『死体』=『肉は動物の死体と言えなくもないし、野菜も魚とかもまた死体と言えなくもないな』って無理矢理解釈してますけど、あんまり納得出来てません。
なにか見落としてるのかも知れませんが、分かる方いらっしゃったらちょっと教えてください。お願いします。

あれですね、これも入間臭漂うところなんですけど、仮にも人殺しの訓練も積んでいて、魔界探偵をやっているような主人公がですよ、車の運転が出来なくて原チャリってのはこれはもう決定的です。
ケッタラブですからね、いるまんは。もしかして、免許持ってなかったり?と勘繰ってみたり。それかペーパーかな?

栗山千秋さんのコメントでもありましたけど、交互に入れ替わりながら進んでいくサトアキと【冥王星O】の一人称がどう繋がるのかというのが読み応えの一つでした。
こういう最後にカチッとはまるような仕掛けは大好きです。
まぁ、色々考えながら読んでいると途中で気づいちゃいますけど、それでもやっぱ綺麗に繋がった時の興奮は気持ちいいものがあります。
登場人物自体がもともと少ないからそんなに選択肢が無いですからね。
椎名君が車椅子なのはイラストで分かっていたので【空を歩く男】って単語が出てきた時点で椎名=【空を歩く男】だなと彼が出てくる前からアタリをつけたりしていました。
予想ははずれても面白いし、当たったら嬉しいし、どっちに転んでも美味しいです。
でもどっちかと言えば、はずれて欲しいですね、うん。
ミステリとかは騙されたもん勝ちですから。
見破れたと見せかけて、実は……。みたいなどんでん返しを期待しちゃうのがミステリ読みの性。

途中、【冥王星O】を拾ってくれた酔っ払いお姉さんは、彼の本当のお姉さんですね。
ここすごく巧いな、と思いました。自分が中々気付かなかったからそう思うだけかもしれませんが。
四章の最後の方でやっと「あ、さっきの女の人ってネーチャンか」と唐突に閃いてパラパラ読み返してみると、結構露骨に(チョコの袋とかいつから知ってたとか姉にしかられるってこんな感じなんだろうかとか)書いてあるじゃないかと、勝手にしてやられました。
個人的にはここが一番良かったかも。ホントにここは巧いです。

Vの後に読んだせいもあるでしょうが、Wの【窓を作る男】は人間臭さがあってなんか結構親しみのもてるやつでした。
ポップコーンのジョークとかもつまらないけど、そこがまた人間っぽいなって。
なんだかんだいって聡明には優しくて、素っ気ないお兄さんって感じの彼はやっぱり【彼ら】ではなくて人間なんじゃないかな、とそう思います。

エピローグ&プロローグの温かさが心地よかったです。
このほっこりとした読後感に「ああ、やっぱりいるまんだなぁ」ってなんか無性に安心しました。

ここにないけれど、ここにいるぼくらの中にあるものをそっと覗くような感覚だ。
ぼくらがなにかの内側に祈るとき、きっとこんな気分になるのだろう。

確かに、これは『愛』についての物語でした。

かつて【冥王星O】だった男の人生がこれから先、少しでも幸せなものになればいいな、そんなふうに思いを馳せながら。

たまには、目的地もなく歩いてみるのもいいかもしれません。

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Comments

待ってましたー(´∀`)
私はなんだったかな。入間人間検索でたどり着いたと思います! 初めて見たのはラジオ記事だったような?

待ってましたよ待ってました!!!

取り敢えず大体把握出来ました。入間エキスたっぶりですね!!!

いやあ、ありがとうございます。
天野寂さんの感想は本当に好きです(´∀`*)


ありがとうございました!!
Posted at 2010.04.10 (19:37) by 香音 (URL) | [編集]
Re: 待ってましたー(´∀`)
こちらこそ、いつもコメントありがとうございます。

読んでくれている人がいるんだなぁって、やる気が湧いてくるというかなんというか、つまり、ひじょーに嬉しいです。

しっかり入間エキス配合されてますので、財布に余裕が出来たときにでもよろしくお願いします。
ってなんでかセールスみたいになっちゃってますねw
あとついでに、このブログのことも今後とも、よろしくお願いします(ちゃっかり)
Posted at 2010.04.10 (21:25) by 天野寂 (URL) | [編集]
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