ひかりの消える朝 感想

ここ最近、色々と忙しくて(嘘じゃないよ!)またこんなに間が開いてしまいましたが、皆さんいかがお過ごしだったでしょうか。

挨拶はこれくらいで手短に済ませまして、続きから電撃文庫MGAZINEvol.13掲載の『ひかりの消える朝』の感想をどうぞ。

「シンバ」
「うん」
「あと、もうすこしだよ」
「ひかりのきえる時間だね」
「うん、消灯の時間」

まずはイラストについて。
左ブリキもりちかぎん太と漢字カタカナひらがなひらがな&漢字が揃いました。
こうなると次はアルファベット絵師さんですね。
toi8さんとかだと数字もゲット出来て一挙両得。
もりちかさんのイラストはpixivで見たことがあって、結構好きな絵師さんだったので嬉しかったです。
この扉絵も短編の雰囲気とすごくマッチしていて良かったです。
明暗の表現が巧いというか、そこはかとなく夜明けを感じました。
あと何故か無性に、新海誠さんにアニメにして欲しくなりました。


内容について、ですけど、今回、この話の感想を上手く書く自信がありません。
単刀直入に言えば、素晴らしかったです。もしかしたら、今までの短編で一番綺麗な物語だったかもしれません。
なので、この下からは短編の感想というよりは自分なりの入間作品への解釈、みたいな感じになってしまってます。
その辺を踏まえたうえで、読み進めて頂けると幸いです。



いるまんの書く子供は達観している子が多いですが、シンバもやっぱりそうでした。シンバだけじゃなくひかりも。
この作品に限ったことではありませんが、自分の力ではどうしようもないこと(例えばこの場合は父親の仕事の都合といったような)が原因で不遇な境遇(あくまでも客観的に観察した視点での話ですが)にあることが前提となっている作品が大半を占めています。
というか恵まれた環境にいるのは電春男女ととりたまコンビくらいですよね。

これは完全に私見ですが、入間作品はすべて、個々の置かれている境遇は違えど、その中で自分(と周囲の大事な人達が含まれることがほとんど)にとっての幸せを見出すというのが大きなひとつのテーマになっている、と思っています。
どんな不幸の中にあってもその中に一点の幸福を見つけようと頑張っている。
この『頑張っている』というところが重要で、何もしなければそのまま、あるいは更に悪い方へと転がり落ちていってしまう。
もう数えきれないくらい色んなことを諦めているんだけど、そこだけは諦めず積極的に、他の誰でもなく自分の為に、自分だけの幸せを掴もうと足掻く、いるまんの書くお話は全部そういう話なんだと。
これはみーまーから現在までの全作品に一貫して感じていることです。
ですから、「入間作品のどこが好き?」って聞かれたら迷わず「いるまんなところ!!」と即答します。
どこにも嘘がない。これぞまさにパーフェクトアンサー。

この短編は話がどうこうというものではなく、作品全体に漂う空気、雰囲気といったものを味わうものだと思います。
だから、何を書いてもそんな雰囲気を壊して台無しにしてしまうような気がして、へっぴリ腰になっちゃいます。でも、だからこそ頑張る。
決して光輝いてはいなくて、むしろ全然目立たない埃が舞っているような場所なんだけど、なんだか不思議と温かくて居心地の良い、ずっとそこに佇んでいたくなるような、そんなお話でした。

例え、妥協の上に成り立った仮初めの関係だったとしても、二人が過ごした時間はパチンコ玉と交換出来るような、そんな等価価値のあるようなものではなくて、もっとかけがえのないものだったのではないでしょうか。
お互いに望む『一番』ではありませんでした。
けれど、そこにあったのは紛れもなく『一番』大切な『二番』で、『一番』にも勝る『二番』でした。
二人が磁石で拾い集めていたのはきっとそんな優しい時間だったんだと思います。

もうすぐ引っ越しする女の子という設定で『無邪気な浜名さん』を思い出しました。
対比させているようなところや、逆に似通った部分もあって、ちょっと再読したくなりましたね。
トーエとあっきゅんの再会はありませんが(おそらく今後もないでしょう)、シンバはひかりに会いに行くはずです。
お察しの通り、終った小説や漫画のその後を妄想するのが三度の飯より大好きです。
そんな自分は『いきなり訪ねてきたシンバに初めは驚くも、すぐにちょっぴり照れくさそうにはにかむひかり』みたいなのが常に脳内再生余裕です。

夜明けを感じさせる、希望に満ち溢れたラストが、とても印象的でした。
シンバの右目に映った泣き顔が笑顔になって、ひかりの『ありがとう』が聞ける日もきっとそう遠くはないと、そう信じています。



「点灯の時間ですよー」

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