瞳のさがしもの 感想

10ヶ月振りにして2013年初のメディアワークス文庫作品『瞳のさがしもの』の感想です。

瞳のさがしもの (メディアワークス文庫)瞳のさがしもの (メディアワークス文庫)
(2013/09/25)
入間人間

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『恋』とは、『もう片方』を探す旅だ。

「あ?」
 僕の乗っているバスが、交通事故に巻き込まれた。隕石が落ちてきたような、とても大きい音がした。それと同時に、僕の隣に偶然座っていた、とてもかわいい女の子と、激しくぶつかりあう。
 事故に遭ったことを瞬時に理解できず、僕の頭の中は真っ白になっていた。唯一記憶しているのは、その衝撃によって、自分の『右目』を失ってしまったこと。そして、隣に座っていたかわいい女の子と、ファーストキスを交わしたこと――。

上で引用した文庫裏のあらすじですが、メディアワークス文庫HPのあらすじから変更されていました。
HPのあらすじが誤植っているのがずっと気に掛かっていたのですが、ほっと一安心です。
帯にも使われている『恋』とは、『もう片方』を探す旅だ。というコピーが素晴らしいですね!
あえて難を挙げるとすれば、完全に『静電気の季節』のあらすじオンリーなので、短編集だということがわからないことでしょうか。
本書は電撃文庫MAGAZINEに収録された短編3編に新作書き下ろし短編2編を加えた短編集となっています。
雑誌掲載作品は過去に書いた感想がありますので、そちらへのリンクを貼っておきます。

ひかりの消える朝

ああ、やっぱりいいなぁと思いました。
いるまんの書く、こういう話が好きなんだよなぁ、本当に。
このお話を最初に持ってくるのはもったいないような、最初に持って来てくれたのがすごく嬉しいような、そんな気持ちです。
『ひかりの消える朝』は今回収録されている短編の中でもダントツで一番古い短編だったりするのですが(2010年4月。ちなみに他2つは翌年2011年6、7月)、この頃の入間さんが書いた物語がどうしようもなく大好きな私です。
もちろん、今の入間作品も好きですけど、なんていうかこう、“好き”のカタチが違ったりするのですよ。
でも、あんまり昔のいるまんを褒めてばっかりいると拗ねちゃうので、この辺にしときます。

わかっていたことですけど、もりちかさんのイラストが載っていないのはやっぱり残念でした。
『時間のおとしもの』のように庭さんのイラストがなかったのが救いでしょうか。

シンバとひかりのその後が気になる方は『ちょっと無敵、だいたいこども。』で少しだけ語られたりするので、ぜひ読んでみてください。

静電気の季節

読めばわかるとは思いますが、文庫開いた1ページ目のカラーイラストが『静電気の季節』です。
秀逸なロゴが見られるのは雑誌購読派の特権ということで。

みんなおかしい(ぼく含む)

これまた読めば分かると思いますが、2ページ目のカラーイラストが『みんなおかしい(ぼく含む)』です。
これまた秀逸なロゴ以下略。

瞳のさがしもの

ちょっとロマンチックすぎやしません?
いやーさすがにねーだろーって思わず呟いちゃいましたよ。
と言っても、とってもよかったんですけどね。

それ、ただの泥団子じゃなくて、犬の糞とかだったんじゃないの?
泥ってそんな臭くなりますっけ?
女の子の様子から重い話かと思いましたけど、そうでもありませんでした。

はじめ『鼻毛』を『鼻血』と読み間違えて、え? なにやってんの? 何抜こうとしてんの? え? え? とか一人で混乱していたのは私です。
4ページで終わった高校時代。
5ページで終わった大学時代。
そして、まさかの社会人編突入!
入間作品で主人公が普通の会社員になるとか初じゃないですか!

僕の病名は『網膜色素変性症』ですね、多分。

真田さんは『強くないままニューゲーム』の山崎さんがそのまま大きくなった感じの女子だなぁと思いました。髪型も含めて。
癒されますよね、一種の清涼剤系女子。

「いや、アマチュア無線部」
しかも三年間で二回しか部室に寄っていない。入部するときと、後は……なんだった?さっぱり思い出せない。それぐらい部活動というものに興味がなかった。

完全にいるまんの体験談です。本当にありがとうございました。
いやでも、部長だって言ってたじゃないですか。せめて一年に一回くらいは……
かくいう私も全くの無関心でしたけどね。

突然の人間椅子!
こういう突拍子なさ過ぎる展開も「いるまんだから」の一言で済ませられるくらいになってきたなぁとしみじみ。

 僕は今まで歩いてきた場所にあったかもしれない綺麗なものを、散々、見逃しているかもしれなかったのだ。それが悲しく、悔しい。探し物をしようにもこんな見落としの酷い目では、という失望感もあった。

治療法がなくて気が楽になったっていう現実的なのにポジティブな考え方が好きです。
悲しいし、悔しいよなぁ……としんみりするシーンなのに絵面を想像するとどうしても笑えてしまって困りました。
真田さんは大物やでぇ……

「桜山さん、今度結婚して退社するらしいですよ」
名前を出されても最初はピンとこなかった。でも少し考えて、会社にいる女子だと気づく。僕と同期だったけど、え、もう辞めるのか。
「へえ-、と驚いてはみるけど大人しい人だから、あんまり喋ったことないな」
「私もないです。愛想ないですもんね-、あの人」

エコさん寿退社おめでとう!
……と思ったんですけど、結婚する前から『桜山』はおかしいですよね。
でも、意味なく既存キャラと同じ苗字出すとは思えませんし、なによりこれがエコさんだと時系列とか割り出せるのでどうかエコさんであってほしい! というしがなきイルマニアのたったひとつの、ねがい。
追記:みーまー8のエコさんパートを読み返してみました。
……全くの別人ですねっ! 早とちり恥ずかしい///

私も真田さんみたいな考え方好きです。
足下のボールを拾えず、うずくまって嗚咽する姿の悲愴感が凄まじくて胃がキリキリ……

フィールド・オブ・ドリームス好きですねーいるまん。

そして、運命の再会。
ロマンチックがとまらない!!
別れてから10年以上も経って、お互いに探し合ってたとかフィクションか!(※フィクションです)
感動する場面なのはわかるんですけど、素でつっこまざるを得ませんでした。
いやでも、三十路間近の女性を女の子と表現しちゃう僕は筋金入りですね。
入間作品最大の醍醐味、安心安定の〆。
このラストが読めただけで幸せです。
これまた『ぼくだけの星の歩き方』みたいな素敵なお終いでした。

女の子の名前は最後までわからず終いでしたが、ここは素直に『瞳』ですよね!
プロポーズは「僕の瞳になってくれ!」みたいな!
って、ロマンチックが移っちゃったじゃないですかー!

今回唯一の描き下ろしである表紙イラストは『時間のおとしもの』の例からするに『瞳のさがしもの』のイメージイラストなんでしょうけど、正直、あんまりピンと来ないなぁと初めはそう思っていました。
ですが、読み終わってもう一度読み返しながら眺めてみると、僕のシャツに散りばめれた星々や女の子のスカートに描かれた銀河は彼女が見ていた星空を模しているんだなと。
まぁ、ピンと来ない最大の理由は僕の容姿がほとんど描写されてないからなんですけど。

にゃんと素敵にゃ

初! 一猫称!
入間さんの人間以外の主人公小説も大好物にゃ私です。

去勢手術されてるから無理だけどってそんにゃこと考えてる猫がいたにゃんて! 笑撃の事実(誤字じゃにゃいよ)
にゃんと素敵な片想い!!

冷淡姉の調教のおかげでとこぶしくんがMに目覚めちゃってるじゃにゃいか!

あとたまに、猫の集会にゃのにどこかの犬も交じっている。丸っこい犬で無害そうなので放っておくことにしていた。

おい、にゃにやってる。
丸犬は自由気ままに生きすぎだろ!

 ぼくたちはにゃがい年月を人と共に暮らしたことで、人の手を借りなければ生きられにゃい生き物へと変化してきた。蚕とおにゃじだ。ぼくらは生き物の側面よりも、動くアクセサリーとしての面を求められている、ということにゃのだろう。

かにゃり強烈にゃ言及ではにゃいだろうか。
特に『動くアクセサリー』という表現のインパクトはすさまじいにゃと思った。
自分が置かれた境遇のにゃかで自分の生き方をさがし、決める。
人生、じゃにゃかった猫生って深い。
それが愛にゃんてとこぶしくん素敵。

失恋して落ち込んでる想い人を一生懸命励まそうとするとこぶしくんの姿ににゃいた。
たとえとにゃりにいるのが自分じゃにゃかったとしても、好きにゃ人に幸せでいてほしいと願う。
その想いに人間も猫も関係にゃくて。
でも、種族というどうしようもにゃく大きい壁があって。
それでも、気持ちを伝える方法は0じゃにゃい。
愛する人のためにゃら、滑稽にゃ道化ににゃろう。
やばいよ、にゃみだがとまらにゃい。

独立していることが片想いのかにゃしさでも、強さでもある。

とこぶしくんの無償の愛。

愛は効率ではにゃく、愚直に帰する。

惚れた!
かっこよすぎるよとこぶしくん……!

決して実ることのにゃい片想い。
そして、決して終わることのにゃい片想い。
にゃんと素敵にゃ片想い。

いやー素晴らしかったです!
書き下ろし2つの中では断然こっちの方がよかったです。
とこぶしくんが死ぬときはきっと愛する姉もかにゃしんでくれますよ。
あと、個人的テーマソング『猫ににゃりたい(スピッツ)』


あとがき

安達のことですね、わかります(スマフォの話)
ガラケーじゃなくて折りたたみっていうところがなんか好きです。
高校時代は携帯持ってなかったので、ついてけなかったと言えばついてけなかったですね。
元からついてく気が0だったというのは言うまでもありませんが。

超わかる! ゲームまで人に気を使いたくないちょーわかる!
でも、ドラゴンズクラウンのオンラインはちょーたのしかったです。
ってことはやっぱりいるまんはオンはやってなかったんですね、ちょっと残念。

母間さんに教えてもらえばいいんじゃないかな、息子さん。


・総評
一番好きな短編『ひかりの消える朝』が入っているというだけで今年刊行された著作の中ではぶっちぎりでしたね。
2013年はトップはほぼこれで決まり! って感じです。
執筆時期がかなりバラバラなので、この1冊で色々と変遷を感じられるのも感慨深いものがありました。
たくさんの「変わったなぁ」と相も変わらず大好きな「変わらないなぁ」を見つけてはひとつひとつ大切にポケットにしまっておきたくなるような、さがしものがいっぱい詰まった珠玉の短編集でした。
改題前の『片目と失恋』がすごく気に入っていたので変更されたと知ったときは少なからずショックだったんですけど、書き下ろし2編を読み終えてみると『瞳のさがしもの』の方がしっくりくるなと思い直しました。
書き下ろしは片目じゃないですしね。
一口に『片想い』と言っても色んなカタチの『片想い』があって、イチャイチャラブラブ両想いもいいけど、好き好き大好き超愛してる片想いも切な良いなぁなんて思ったり。
中でも『ひかりの消える朝』と『にゃんと素敵にゃ』の『片想い』がお気に入りです。

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