エウロパの底から 感想

2014年1発目『エウロパの底から』感想です。

エウロパの底から (メディアワークス文庫)エウロパの底から (メディアワークス文庫)
(2014/03/25)
入間人間

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私が書いた小説の通りに起こる連続殺人事件。
我が小説を『模倣』する犯人は誰だ? いや、まさか。


 私は小説家だ。そしてこれは私の小説だ。私が心血を注いだ惨殺があり、私が身を削るように描いた苦悩がある。文の始まりから果てまで、すべてが私だ。
 事件は私の書いた小説の通りに起きていた。犠牲者、殺害の方法、現場の描写。すべてが私の描いたとおりに。
 私の見る『小説』通りに。
 こんな殺し方ができるのは誰だ。こんな小説が書けるのは、なぜだ。
 警察も、被害者も、加害者も私を疑う。『犯人』と決めつける。
 だが私は『犯人』ではない。
 私は、小説家なのだ。

ネタバレにご注意を。
あらすじから予想した通り、完全に『バカが全裸でやってくる・マニアックス』でした。
自分としてはめちゃくちゃ面白かったんですけど、これはバカ全裸同様売れないですね、うん。
いくらなんでもニッチすぎるよいるまん。

まずはイラストから。
担当は引き続きloundrawさんでした。
これで『僕の小規模な自殺』、『エウロパの底から』、『ふわふわさんがふる』と3作品を手がけられたことになりますが、どの作品も見事に雰囲気が違います。
個人的には『自殺』が一番お気に入りです。
正直、本作はイラスト無しの方が良かった気がします。
表紙の人物と“私”のイメージが一致しませんし、口絵の女の子、おそらく麻理玲菜だと思いますが、もあんまりしっくり来ないんですよね。
loundrawさんのイラスト自体は悪くないと思うんですけど、この作品には合っていないと思いました。

あとがき

今回はあとがきから。

よく見る夢の話。
最後だけですます調になってるのがなんか微笑ましいです。

本編への話は特にない。
一つ言うならこの作品はフィクションであり、参考にした人物、事件等は一切ない。
邪推は止すように。

お言葉に甘えて全力で邪推させていただきまーすっ!
この発言は明らかに狙ってるとしか思えません!
でも実際にどこからどこまでが本当でどこからが創作か判断がつかない以上、自分も半分本気半分冗談で受け取っています。
なのでこの感想も話半分に読んで頂けるとありがたいです。
フィクションに向かって何言ってんだこいつとか思わないでくださいね。

だからまたクッソ古いゲームの話をするぅ……××××って伏せてる癖に隠す気0じゃないですか、入間人間さん。
そのメタ落ちはバカ全裸で既に体験済みです! もう効かないぜ!
というわけけで、今年もよろしくお願いします。

一章『よみがえるのだ、この電撃で』

冒頭3行でオチが読めました。完全勝利!

来年三十路ってことは来年の話になりますね(日本語が迷子)
ってか1P目から重い。そして面白い。
初版が半分とか数字がリアルすぎてとてもフィクションだとは思えません。

編集さん……そりゃあ本文とイラストが食い違うわけです。だって読んでないんだもん。
内容はともかく誤字脱字くらいはチェックしてほしいものです。それは校閲の管轄ですと言われればそれまでですけど。
フィクションだと思いたいけど、こんなこと書いて通ってる時点で実話に思えてきてしまいます。
引退とか読んでるこっちまで胃が痛くなってくるのでやめてください。
開始早々いくらなんでも雰囲気暗すぎるでしょう、この小説。

やっぱあの写真は違法撮影だったのか。そして当然のように根に持ってらっしゃる。まぁ、そりゃ根に持ちますよね。
締め切りについてもこれまた妙にリアルなのが嫌なんですが、ついこの間も書きたい話はいっぱいあるって仰ってたのであくまでフィクションなのかなぁと。
ペースとしては全盛期の1/3くらいですけど、それでもまだ全然早いですからね。

この医者も実際にいそー。いたら本当に嫌だろうなー。
終わり方が下手な新作って『僕の小規模な自殺』のこと? やめてあげなさい、確かにあのオチはいらんかったと思うけど。
自分はいるまんの終わり方が大好きですでずっと読んでます。
終わり方というか最後の数ページないし数行がね、本当好きなんです。
ちょっと詩的な雰囲気で締め括った後の余韻がたまんねーんですよ、うん。

一問一答の受け答え見ても、昔の作品についてのお便りばっかりでいるまんが相当うんざりしているのはもう十分すぎるぐらい伝わってきてるんですけど、一読者として意見を言わせてもらえば、こちらとしてもその話にはもううんざりしてます、正直。
その作品が好きっていう人に対して(直接言っているわけではありませんが)、「私の中では駄作です」とか言わなくていいじゃないですか。
そこらへんの有象無象に貶されるならともかく、他でもない作者自身に否定されてしまったらもうどうしようもないじゃないですか。
親に出来損ないのレッテルを貼られた子供を見ているようですごく悲しいです。それが好きな子なわけですから尚更。
歯に衣着せないいるまんのキャラは好きですしわかっているつもりですけど、流石に自作ディスリがくどいと感じたので愚痴りました。

殺人をリアルに再現した小説なんて面白いか? と本作を読んでいてずっと疑問だったんですけど、そんなん面白くないですよね。
ジャンルによりけりですけど、リアリティを求めて小説読んでいるわけじゃないですし。
なので、ここが本題じゃないことはわかってるんですけど、なんかもやっとしてました。

帯の推薦文、あれで無難なんですね(笑)
そしてなんとバカ全裸実写映画化だとぅ!? マジか誰やるんだバカ役。

すいません、もう「他社から出してください」とか言いません。
でも、自分に適した環境を見つけることもまた、才能だと思います。

ご都合主義の排除、ですか。
なるほど、だから最近バカップルが絶滅してしまったんですね……
もうヒロインと結ばれる的なストーリーは見られないのかな、それはちょっと辛いかも。

この医者もマッドサイエンティストでしたか……おほふっじゃねぇよ。
章題を見て「これ、電撃じゃなくてMW文庫なんですけど?」とか思ってたんですけど、まさかまんま電撃だったとは。
うさんくさいにもほどがあるw

ここからちょっと真面目な話をします。
自分は生粋のイルマニアなのでここまで大変楽しく読んでこられましたが、そうでない方、つまり入間さんのことを全然知らない人はこの小説を楽しめるんですかね?
勝手な想像ですけど、一章で投げられちゃいません、これ?
こんな冴えない中年小説家の愚痴の羅列を楽しめる人は相当レベル高いと思います。
はっきり言いましょう。
いるまん、本当に売る気あるんですか?

二章『悪事を重ねて出世したい』

僕から私へ。

基本、自由ってのは本当っぽい気がします。
普通、同レーベルでこんだけシリーズ並行させるとかないですもんね。
次また新作ですし。これもまたシリーズだったらどうしよう。

まさかまさかの上社刑事登場! こいつぁ驚いた!
あっきゅん&湯女以外の視点から見た奈月さんってこんな性悪女なんですね。これは腹立つ。
この人は絶対敵に回しちゃいけない、そう確信しました。

 見たこともないのに、鮮烈なイメージを想起させる存在。それは見るはずのない出来事を読者の頭にイメージさせる、小説としての在り方の理想そのものだった。

そうそう。だから別にリアリティとかそこまで重要じゃないんですよ。見たこともない世界を見せてくれれば。

麻理玲菜がやってきてやっと「あ、これエッセイじゃなくて小説だった」と我に返りました。

三章『私はすげぇ! すげぇから正しい!』

自分も小説内の描写から探し当てようと考えたことがありますが、やめておいてよかったです。そこは越えちゃいけない最後の一線ですもんね。
そして、当たり前のように居着く麻里玲菜。
あ、これ小説なんだっけ(二度目)

「世間の評判や噂なんてアテにするなよ。尊敬するなんて一度も言ったことがない作家を世間では尊敬していることになったり、いい加減なものだよ」
自分の思い込みを伝聞として語り、拡散する。人間の悪い癖だ。

これね、本当酷いですよね。
ズバリ言いますが、入間さんが西尾維新さんを尊敬していると言ったことはありません。
それ以前に自分から名前を出したことさえなく、初期のインタビューにてインタビュアーからの「西尾維新から影響を受けられたんですか?」という趣旨のクソみたいな質問に対し、「読んだことはあります」と答えただけなのに、曲解に曲解を重ねられ今では「入間人間は西尾維新の影響を受けたと公言している」というのが共通認識のように広まっているあり様です。
別にね、個人で似てるなーとか思うのはいいと思うんですよ、そんなん勝手に思っとけば。
ただ、「入間は西尾の影響受けたって言ってるしねー」とかありもしないデタラメをドヤ顔でさも事実のように宣ってる連中を見ると死ねばいいのにと思います。死ねばいいのに。
極力そういうのは見ないようにはしてるんですけど、感想とか探してるとどうしても目に入っちゃうんですよねー。
まぁ、ああいう連中は「わかってる俺カッコイイ」とか勘違いしてるガキなのでスルーするが吉。
それに私は大人ですから(大人はこんなことグチグチ言わない)
あ、あと誤解無きよう言っておきますが、自分は別に西尾さんは嫌いじゃないですよ? むしろ、そこそこ好きです。

トイレも大変ですが、お風呂はどうしてるんだろうと少し気になりました。

お茶持参w ほんとこんな女刑事相手にしたくないw
自分が犯人と疑われることではなく、『模倣犯』であると疑われること、小説家としてのプライドを傷つけられることに対して怒る彼も、本当に『小説バカ』だなぁと思いました。全裸じゃないけどバカ。

誕生日11月12日? いるまんと全然違いますね。

やってきた四度目の受信。
次なる被害者は麻理玲菜。
やっと小説として面白くなってきたぞぉっと。

四章『お尋ね者との戦い』

麻理くんに花束捧げればいいじゃないとか思いましたが、まぁ、ないな。
この“私”に限ってそれはない。
でも、掃除役に従事してくれってそれプロポーズじゃ……単に便利要因確保しか頭になさそうですけど。

これでは食用に成長させるための、そう、家畜の飼育めいているではないか。その仕組み自体は人類の英知であると確信しているが、それを人間に適用するのは、どこか歪だ。

『たったひとつの、ねがい。』という小説があってですね……

鰻屋に出現したファンを名乗る男は駐車場を歩いている時点で正体に気づきました。
出てくるとしたらここしかないだろうと。今回は冴え渡ってたと思います(自画自賛

シャーマン田岡イイキャラすぎるw
ここで使い潰すにはもったいないポテンシャルを秘めてる気がします。
でも、一発芸人っぽいからやっぱ一発退場が華かも。

「玲菜ダヨ」が「芦田愛ダヨ」のモノマネの人の声で再生されましたw やめてw
人質を取られているにも関わらず、二回とも自分から通話を絶つその姿勢、良い、実に良いです。

岡田だか田岡だか知らんけど卑怯でしょこれwww 教授もオイw

「待てそこには反論したい。私だって売れる話を考えて書いているんだ」
 最初は必ずそこから始める。今度こそ売れ線を狙おうと徹底することを誓う。しかし書き進めるにつれて段々と軌道がずれていってしまうのだ。

本当ですか? こんな話書いてる人が言ってもまるで説得力がありませんよ!
むしろ、玄人好みまっしぐらじゃないですか!
私は嬉しいからいいですけど!

この女刑事はえげつないっ!
赤い血が流れている人間とは思えないっ!
そして、エウロパの底からイッツァショーターイム!!
キョトン顔の奈月さんかわいい。

だから、そのために。
「どんな手を使っても、きみを守ろう」

思わず「かっこいー!」って声に出しちゃいましたけど、玲菜ちゃんのためじゃないっていうね。
でも、そんな『小説家』としての自分を守るため、終始一貫した小説バカが私は大好きです。

五章『お尋ね者の戦い』

どうしてこう、入間作品に登場する殺し屋や人殺しは魅力的な人物ばっかりなんですかね?
まぁ、これは入間作品に限った話ではありませんが、嫌いになれなくなるじゃないですかぁ。
困ったものです。

選考で落とされたノベライズ企画ってなんでしょう? そんなのあったんですかね?
この書き方からして実話っぽいですが、調べたらわかるかなぁ?

息が乱れて余裕のない奈月さんも、クモにびびる奈月さんもかわいい。
そして、“私”と『一人目』の謎の連帯感w
今回の奈月さんにはイライラしていたので『そぉい!』は超爽快でしたw
巻き舌怒号ジョロニモ腹筋崩壊不可避なり。

 生涯現役でいくつもりだからな。死の際まで小説を書いて、あの世にパソコンを抱いて持っていくと決めていた。むしろ霊体でこの世に留まって、書き続けているかもしれない。
 私はもう、二度と、小説家としての死を迎えるつもりはない。

格好良すぎるぜ!
幽霊云々は似たような話がもうあるけどな!

また『アラタなるセカイ』の宣伝ご苦労様です。
この歌を知っているってことは『一人目』ってガチのファンですね、実は。

恐ろしい書き置きからの、待ち伏せジョロニモ激おこぷんぷん丸。
あの後、必死になってキーを探す奈月さんを想像するとお腹痛いですwww
アンパンマンポテト懐かしすぎるw とゆーか、なぜそれを買って来たw
生爪剥がしとか警察がそんな脅し文句使っていいんかい! この女刑事怖いよ! 助けて恋日先生!

ここで『予知』と現実が一致するのも予想通りではありましたが、カタルシスは十分味わえました。
やっぱこういうのはわかっていても気持ちが良いものです。
そして、『予知』は外れ『模倣』は『小説』へと昇華される。

まだ初初しかった頃、初めてのファンレターに喜んでいた僕。
この娘、作中でも触れられるとか羨ましすぎるんですけど、どっかで読んでたりしないかなぁ……

 小説を、書きたい。書いたものを世に送り出して、たくさんの人に読んでほしい。
 僕が面白いと思うものを、誰かにも面白いと言ってもらうのが、なによりの幸せだった。

この世界の物書きはどいつもこいつも負けず嫌いの根っからの小説バカばっかりなのだから。

・オチについて
一応、個人的な見解を述べておくと、『バカが全裸でやってくる』と同じオチですね、はい。
つまり、本作『エウロパの底から』は作中の“私”が書いたメタ小説だったということです。
同時に更にメタ視点では当たり前の如く本作は入間人間が書いた小説であり、最後の『××××』にも当てはまると。
この後、“私”がどうなったのか、死んだのか死んでないのか、についてはこんなあとがきを書いているくらいですから、ピンピンしてるんでしょう。
そもそもこの話がフィクションにおけるノンフィクションに見せかけた、フィクションにおけるフィクションである可能性も否定できず、徹頭徹尾どこからどこまでが現実で虚構なのかと思考の無限ループに陥らせようとする底意地の悪い小説なんだと思います。

悪く言えば、バカ全裸の二番煎じなわけで、もうちょっと捻って欲しかったかもしれません。

・総評
入間人間のファンブックとしてはこれ以上ない出来で大満足な1冊であることは間違いないと思います。
ですが、物語としての満足度としては微妙なんじゃないかなぁと。
自分はもうめちゃくちゃ楽しめたのでいいっちゃいいんですけど、作者自身にあんまり興味ない人とかはこれ読んで面白いんだろうかという疑問が常に頭から離れませんでした。
売れたいと言ってるくせに全然売れなかったバカ全裸みたいな話を書いてるのはどこまで本気なんだ? と。
MW文庫はどうせ売れないから好き勝手やってやろうという算段なんですか?

ぶつくさ言いましたが、自分は大好きですよ、こういうの。定期的に出して欲しいくらいです。
でも、昔の作品ディスリはそろそろやめてほしいとも思います。
昔の作品がー昔の作品がーって言ってくる人たちは“今”の作品で黙らせてやりましょーよ。
いるまんならそれができる! と信じてます。

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Comments

入間さんの自分語り系の作品ではいつも感じてたんですけど、確かに今回の愚痴は酷かったですね。愚痴に関しては天野寂と同意見です。「好きで読んでる私たちはどうなるんだ」って感じですよ。

まあ、西尾さんの信者には作者本人が影響を受けたって言ってる作家さんのスレに「パクリ野郎」と殴り込む、すこぶるマナーの悪い人達もいるそうですし、そういう人が広めた可能性もあるかなと思ってます。

今回の上社さんを見て、「鋼の錬金術師」のヒューズを思い描いたのはきっと私だけ。なんかカンが良すぎて早死にしそうと一瞬思ったけど、みーまー本編は終わってるからそんな心配はいらなかったw
Posted at 2014.04.05 (18:20) by HOMA (URL) | [編集]
Re: HOMAさん
1、2回くらいなら自虐ネタとして笑えますけど、こう何度も何度もしつこいと辟易しますよね……これを最後に自作ディスリはやめて頂きたいものです。

そうやって悪意を持ってやってる人は別にいいんですよ。その人なりに確固たる目的があってやっていることなんでしょうし、個人的にはご自由にどうぞって感じです。
それよりも無自覚になんの疑いも持たずネット等の誤情報を信じ込んで、その誤った知識を自慢気にひけらかしているような人の方が何倍も質が悪いと思います。

「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」ですね(違
そう言われてみると確かにヒューズポジションですけど、奈月さんは殺されたくらいじゃ死なない気がします。老衰とも無縁そうですし、どうやったら死ぬんでしょうね、この女刑事。
Posted at 2014.04.05 (19:57) by 天野寂 (URL) | [編集]
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