ふわふわさんがふる 感想

入間作品初の○○○○もの『ふわふわさんがふる』の感想です。

『電波女』の入間人間が描く、白く儚いセンチメンタル・ストーリー。

ふわふわさんがふる (電撃文庫)ふわふわさんがふる (電撃文庫)
(2014/04/10)
入間人間

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この星にはふわふわさんという存在がある。生き物かどうかは今のところ分からない。
でも、人の形をしてこの地に立つ。すべてのふわふわさんは、失われた者の姿を真似して、存在する。僕としては、いわゆる『よみがえり』なんてものは信じていないけれど……。
目の前で、綿毛が渦を巻き、幼い少女が現れた。
『ふわふわさん773』。
僕は思考のノイズに延々、苛まれ続ける。あれは見間違えるはずもなく。十年前に僕の世界から失われた、ねえさんだった。

ネタバレさん660は、未読者はこの感想を読むべきではないと判断する。
今回はいきなりオチに触れていきます。
はい、というわけで本作は(個人的に)待望であり念願のロボットものでした!
クロクロクロック2/6のあとがきに「ロボットものとか超書きたい」みたいなことを書かれていたので希望を抱くも、その直後に入間の間にて「巨大ロボットものも書いてみたい」という発言が続き「ロボットものって巨大ロボットものかよ!」となったあれやこれも全て大いなる伏線だったというわけですね(多分違うと思うよ?)
しかし、甘い、甘いですよ入間さん。
あなたに幾度となく騙され、鍛え上げられた私には最早ちょっとやそっとの揺さぶりは通じません。
むしろ、不用意な発言は真相を見抜く材料にしかなり得ませんよ?(こいつは一人で何を言っているんだ)
何故、私がこんなに勝ち誇っているのかと申しますと、今年1月に公式HP『入間の間』に掲載されたWEB小説『新春主人公アンケート』の感想で既に主人公の正体を言い当てているからなのです。

新春主人公アンケート 感想

かなり長いので該当箇所のみ、以下に引用します。

⑩熱い血潮。
真っ赤に流れる~♪
つまり、人間(生物)であるということ?
ということは新作の主人公はロボットだったり? 考えすぎ?

⑩そんなものはない。
“いない”じゃなく“ない”って……やっぱりロボット?

⑩どこで計れるんだ、そんな数値。
やっぱこいつロボットっぽい。

⑩年数などどうでもいいだろう。
やっぱこいつ以下略。

⑩どうしようもないだろう。抗う必要もない。
感情あんのこいつ?

⑩罰する。
あ、これには怒るんだ。でも、やっぱ機械的な回答だよね。

考えすぎじゃなかった! 大正解だったよ!
これに関してはその後、あらすじが公開されるにつれ主人公の印象がどんどん柔らかくなっていったのを見ると、当時はまだアイデア段階だったため、主人公はロボットという設定が色濃く出てしまっていたのかもしれません。
今読み返してみても、全然印象違いますし。

これだけでも十分すごいと思うんですけど、さらに一週間前に公開された試し読みの感想を合わせるとほぼ今回のオチを言い当てているのです!(よほど嬉しいかったらしく調子に乗っているようです。ご容赦ください)

ふわふわさんがふる 試し読み 感想

細部こそ違えどほぼ大筋は合っていなくもないですし、クロさんと無垢さんに関しては双子姉妹型アンドロイドとかマジで完全にデボルとポポルだったじゃないですか!
おそらく、今回のは多くの人にとって驚きのオチだと思いますが、自分にとっては逆に予想通り過ぎてびっくりしました。
ラストの定例報告書読んだときはリアルに変な声出ましたからね。
しかし、かなり穿った考え方ではあるが、私の考えた通りの小説をいるまんが書いた。これは偶然か?
もし、これが『予知』だったとしたら、どうなる?
いや、そんなはずがない。私が『模倣犯』であるはずがない。
私は、読者なのだ。
というわけで、『エウロパの底から』メディアワークス文庫より絶賛発売中!(宣伝)

自慢はこの辺にして、そろそろ感想に入りたいと思います。

『ほしをつぐもの』

試し読みの感想の続きから始めていきます。

19歳で少年? という疑問を抱いた自分はどうやら正しかったようです。
最初、イラスト見て「流石に19歳でこれはないでしょ、酷いな」とか思ってごめんなさいloundrawさん。
そりゃあ、外見は9歳の時のままなんだから、少年呼びが妥当ですよね。
でも、11歳の外見の姉を小さく感じているので、一定期間毎にパーツ交換等で大きくなってはいると思いますが。
こういう細かいところまでしっかり伏線が張ってあるのは流石です。
ちなみに全然関係ないですけど、loundrawさんも19歳だそうです。

親と呼べる人は死んだ、姉も失った。

親と呼べる人という表現も引っかかってたんですけど、これも伏線でした。
ヒフミの両親は人間だったと。
ヒフミやナナミを子供にしている、人類は絶滅寸前ということを考えるにこの時代の人間には生殖能力がなかったのかもしれません。
ただ、両親が2年前までヒフミと一緒に暮らしていたとすると最後の定例報告書の内容と食い違う気がするのですが、一緒に暮らしていたのが別の人物だとは思えないので(そうだとしたらその人物の描写が一切無いのは違和感がありすぎる)、確認された=新しく発見されたという解釈でいいんでしょうか。

あらすじにもある『よみがえり』なんて信じていないという件も、オチを知ってから読むとまた違った意味になってきます。
とても興味深い問題だと思います。

ヒフミとふわふわさん773のやり取りを見て、真と宇宙人設定を貫いていた頃の初期エリオのやり取りを思い出しました。
なんかすごく懐かしいですね、この感じ。
ふわふわさんかわいいw
んでもって、水色の粒子の次は綿毛かw
髪からぶるしゃわーするの好きですよね、いるまん。

僕の名前が『ヒフミ』と分かった時点で、予想が当たった! と確信のガッツポーズを決めたのも今では良い思い出。
実際は半分正解で半分間違いだったわけですが。
ヒフミ=一二三=123なので、「ふわふわさん123かー」とか思ってましたこのときは。

好物キュウリw 河童かお前はw
ここらへんのどっから出てきたの? そのセンスは? ってところがなんともいるまんだなぁと思います。

『名前』

章題ですが、1章だけでしたね、『星を継ぐもの』パロ。

「あれは、脱出計画の名残だよ」
 観光名所の案内役みたいに説明する。ふわふわさんが横目を向けて『脱出?』と窺ってくる。
「八十年ぐらい前に、この星を脱出しようと計画した人たちがいたんだ。結果として数台のロケットは打ち上がったけれど、あいつはここに取り残された」

現在は機械歴74年ということなので、当時はまだ人類もそこそこの数が残っていたんでしょうかね。
試し読みの感想の方で、『電波女と青春男』や『アラタなるセカイ』に登場するロケットと同一のロケットではないかと言いましたが、この描写から判断するとそうではなさそうです。

戦闘妖精・雪風! 『31』ということは間違いないでしょう。
いるまん結構、いやかなりSF読んでますよねー。
雪風、完全にキャラがシラサギですね。
罵倒語がカス野郎って意識しすぎぃ!

「……シロ、マイ、カナメ……」

クロスオーバーのご提供、ありがとうございます!
(シロ→アイで空が落ちてくる  マイ、カナメ→トカゲの王)

名誉市民に少し触れておきます。
名誉二等市民についてはラストの定例報告書で以下のように説明されています。

製造時から人間と生活圏を共にするという条件を満たす

そしておそらく、一等は人間を指し、三等は生まれも育ちも人型機械オンリーの人型機械のことだと思われます。
一等が蔑称に値するのに、一等、二等の方が良い待遇なのは本音はどうあれ、人間は敬うべきという建前があったりするからなんでしょうか。

暗闇の中、僕は口の中でだけもう一度、ナナミ、と眩く。
それは落とした果実にもう一度口をつけるような、奇妙な吸いつきを唇に覚えさせるものだった。

ふぉぉとなった叙情文。
やはりいるまんは余韻の残し方が素晴らしいです。

『観察』

ドヤ顔ナナミ可愛いw

無垢さんさらっと怖い。笑顔だから尚更怖い。
情、なんてものはないんですよねこれっぽっちも。

夕日をバックに降り注ぐ綿毛を身体に取り込み、色艶を増すナナミ。
このシーンは是非、映像で見たい、そんな感想を先回りするようにカラーピンナップにきっちり用意してありました。素晴らしい!
何かを素敵だと思える心を持っている、それが何より素敵なことだと思います。

その中で僕だけが、壊れた機械のように座り込んでいた。

比喩のようで、比喩じゃありませんでした。
姉が壊れていたのかもしれない、というのも精神を病んでいたという意味でなく、文字通り壊れていたということだったんですね。

家族のようなもの。
それは本物の家族と何が違うのか。
彼が作られた理由。
そして、彼女の存在によって満たされたもの。

『W.Arms』

当たり前が続く、安息の日々。
それも悪くないと、姉の姿をしたナナミと生きていくことを受け入れて。
その矢先――バッと通ったトラックが君を轢きずって鳴き叫ぶ!
このタイミングでトラック突っ込ませるとかいるまんも中々勇気ありますね。
まぁ、いるまんは知らないと思いますけど、ちょっと笑ってしまいました。

そして、衝撃のオチ。
正直なところ、途中までは自信あったものの、終盤に差し掛かり残りページ数から「予想外れたかー、このまま何事もなくお終いかなー」と諦めかけていたんですけどね、まさかのラストのラストからのビックリ大逆転でした。

『第二市民生活区画、定例報告書』
おおぅ、マジかよ……と変な声が出たのは上で述べた通りです。
無垢さん本当に監視員だったとは……ドンドンピシャピシャ。
LI-123=ヒフミ
EG-773=ナナミ
CA-69=無垢
○○-96=クロ
○○-31=雪風
主な登場人物はこんな感じでしょうか。
リッキィも機械なのかどうか気になるところです。

総評
このオチが書きたいがために書いた作品なんだろうなと思いました。
オチありきというか、1発ネタというか。
なので、続きはないと思いますが、こういう設定の話はぜひまた読んでみたいものです。

所謂本格SFなわけではなくなんちゃってSFだと思うので、何故こんな超高性能自律思考人型機械を作るオーバーテクノロジーがあるのに生活基準が現代なのかとかツッコミどころ満載な点には目を瞑って(入間作品のSFは設定や背景はさほど重要ではなく、その世界における登場人物たちの心理や行動が読み応えであり、重きを置いているところだと思います)それ以外の謎ないし疑問を上げていきます。

・ヒフミが作られた理由
明らかにハウスロイドではないところを見ると、愛玩用以外考えられないでしょう。
つまり、誰かと一緒に暮らすために生まれてきた彼は家族を失うことで存在理由を無くしていたはずなんですよね。
普通なら処分されるんでしょうけど、名誉二等市民であるから観察対象の価値があり、生かされていたと。
もちろん、リッキィがいたことも大きかったはずです。
彼はきっと孤独では生きていけないロボットでしょうから。
うん、実に私好みのジャンルです。

・ヒフミの前任者
おそらく彼もしくは彼女も二等市民で、記憶データの収集が十分完了したので下ろされた(処分された)のではないかと想像しました。
リッキィの前の飼い主と同一人物である可能性もなくはないでしょうか。

・ふわふわさん
オーバーテクノロジーを遥かに凌駕するオーバーテクノロジーな存在であることが最後に明かされ、結局神秘は神秘のまま終わりました。
人類を滅ぼした人型機械が緩やかに滅んだ後、この星を継ぐのはふわふわさんなんでしょうね。

・ノンストップ・ザ・トラック
最後のトラックは偶然にしては出来すぎている気がします。
ヒフミにとってナナミは悪影響であると判断した無垢さんの指示なのでは? と思いました。
もしかしたら、10年前の交通事故も人為的なものだったんじゃないかなと。これは流石に考えすぎかもしれませんが。

まだ他にも色々ありますが、パッと思いついたのはざっとこんなところでしょうか。

ロボットもの、AIものを読むと必ず浮かんでくる疑問『どこからが人で、どこからが人でないのか』。
それを分けるのは、その境界を決めるのは一体何か。
人間の姿で、人間と同じように思考し、人間のような生活を送る存在。
それはもう人間以外の何者でもないのではないか。
というようなことを延々と考えるのが大好きな自分にとって、この小説は、ヒフミは、たいへん読み応えがありました。
一読目よりも二読目が美味しい、そんな小説に思います。

あとがき
ラブコメ要素1㍉もなかった気がするんですけど……?
そ、そうだったのかー(棒)

鼻血で血だらけは経験あります。
風呂で鼻血出ると血行が良くなってるからか、全然止まらなくて焦りますよね。

逆にその発言がヤヴァイのではないでしょうか。
ということで、なんでもいいから載せて欲しいです。

著者近影
名作『さらば少年愚連隊』はこちらからお読み頂けます。

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