光の庭、庭の光 感想

今更感想シリーズ第四弾。
電撃文庫MAGAZINE Vol.9掲載『光の庭』『庭の光』の感想です。

入間実験作その②。
こちらも読めば一発で分かりますが、犬の道、道の犬同様、ある規則性があります。
『光の庭』は段落毎に一文字ずつ増えていき、『庭の光』は全て同じ文字数の会話文のみで構成されているといった感じです。
やっぱりこれも凄いです。凄まじいです。
なんでこの条件でちゃんとお話が書けちゃうのか甚だ不思議。くえすちょんまぁく。
本当、こんなのをぱっぱと書いちゃういるまん、マジリスペクトです。
前にもどこかで書きましたけど、『庭の光』でのセルフおしゃべりは9巻のプロトタイプと言えますね。
『光の庭』もちゃんと活かされてるところ満載ですけど。
その辺のことは続きからに語るとして、その前に恒例のあとがきについて一言。
あとがきでも創作意欲を失わないその姿はプロの鏡ですw
やさぐれっぷりが微笑ましいいるまんw

『光の庭』


 夢。
 天国。
 二人で。
 光の庭へ。
 双子の望み。
 コオロギと姉。
 最低の生活の中。
 受け入れる他なく。
 地に横たわり考える。
 そこに浪漫は在るのか。
 繋がれた手はいつまでも。
 離れることはないとしても。
 いつか来る別れをじっと待つ。
 共に生きていく選択肢は無くて。
 土の匂いと血液の暖かさに包まれ。
 死に安息を見出してはならないのか。
 至る手段も分からぬ救済に恋い焦がれ。
 幸福も不幸も成り立たない停止した世界。
 でも、そんな不安も隣に姉がいるのだから。
 私を見てる空に向かって笑顔で歌い続けよう。

 例に漏れず、八歳の少女とは思えない達観具合。
 いきなり家族を皆殺しにした状態から話は始まる。
 あとはただ、庭に横たわり餓死するのを待つばかり。
 そして、そこに至るまでの日々の回想へと移っていく。
 『存在しない子供』として『生かされて』いたコオロギ。
 餓えを凌ぐために雑草を食べ、雨露を啜りながら生を繋ぐ。
 フィクションだと分かっていてもかなり陰惨な設定だと思う。
 入間作品中、置かれた境遇に限ってみれば一番酷い環境だろう。
 しかし、その低すぎる基準を受け入れる他に生きる術は存在せず。
 どうしようもなく子供な彼女らは、家以外に居場所はどこにも無く。
 幸福も不幸もどちらも成立しないのだな、とそこでもれなく停止する。
 そんな状況の中にあって他に比べれば『幸せ』なのかなと思ったりする。
 絶望のど真ん中にいると言っても過言ではないのに、そんな思考が出来る。
 頭から尻尾の先までどっぷりと入間作品の主人公だよなぁと思うわけである。
 それともう一つ、イルマニティを強く感じたのが四女を刺殺したシーンだった。
 ここの描写は越えてはならない一線を越えてしまった恐怖に怯える様子が如実だ。
 仕方がなかったとかそういう理屈ではなく本能的な何かが鳥肌となって教えてくる。
 その時点で色々と終わってしまったことを、失敗してしまったことを知ることになる。
 人間を家族を兄弟を妹を、自らの手でその人生を断ってしまったという、消えない後悔。
 ここからもやはり、そこはかとなく漂ってくる入間さんの優しさを感じずにはいられない。
 少し脱線してみーまーの話になるが、××にはこの一線だけは超えて欲しくないと切に願う。
 ××も色々と失ったけど、まだ失くしていないものもあって、それは失くさないでいて欲しい。
 姉は最初から左手で、つまり本当は三歳の時に死んでいて、最後その『死』をコオロギは認める。
 ここも長瀬の死を認めまいとする××を彷彿とさせ、9巻は集大成だったのだな、と思うに至った。
 客観的に考えればこれ以上ないってくらい暗い話のはずなのに、最後の〆に何故か救われてしまう。
 きっと二人は光の庭に辿りつけるんじゃないかなって楽観してもいいような、そんな気持ちになった。

『庭の光』

「この女の子=コオロギだと思うがどうだ?」
『僕もそう解釈したけど、どうなんだろうね』
「うーん、このハナシ解釈がムツカシイよな」
『まぁ、どう解釈したのか全部言ってみてよ』
「分かった。まず一個目は引き取られた設定」
『それは僕も最初に思いついた。お金持ちに』
「そ。どっちかってーと拾われたってカンジ」
『それで深窓の令嬢よろしく、箱入り娘へと』
「ジョブチェンジだな。頭は相変わらずだが」
『自分の中で作った姉と独り対談ってわけだ』
「ザッツライ。あんまり面白くもない話だな」
『ははは、確かに。それで二個目の解釈は?』
「光の庭、つまり天国だな。無事に逝けた説」
『何それいいね。同じこと僕も考えたけどさ』
「なんつーかあの世での第二の人生みたいな」
『うんうんわかるわかる。けどさ、それだと』
「最後の一文がネックになってくるんだよな」
『向こうでは生きているってことなのかもよ』
「そうかもしれないし、違うかもしれないな」
『結局のとこ、よくわからないってことだね』
「このイラストにヒントがありそうなんだが」
『これは……同じ場所の絵だね、良く見ると』
「塀の向こうは光に溢れているということは」
『実は、隣家は豪邸だったという事実が判明』
「もあるし、そこが光の庭だったとも読める」
『隣のボロ屋ってのコオロギの実家だったり』
「ぽいよな。でもそれ一番説の補強になるな」
『女の子は全然関係ない別人説も浮上するね』
「あーぁ、ますます訳わかんなくなってきた」
『はは、とりあえず、三つ目いってみようー』
「パラレルワールドもしくは生まれ変わり説」
『おおー、なんかぽいね。また同意見だけど』
「もう疲れたから説明割愛。ま、察してくれ」
『きみの考えてることは全部分かってるから』
「まぁ、ぶっちゃけお前は俺でお前は俺だし」
『この会話も結局独り言でしかないんだよね』
「誰に迷惑かけるでもなし別に構わないだろ」
『きみのそういうとこ好きだな。と自画自賛』
「お前のそういうとこ嫌いだな。と自己嫌悪」
『作中でも論じてるけど、どっちが本物かな』
「俺は確かにここにいて、お前もここにいる」
『だからどっちも本物って言いたいのかい?』
「それは自問か?答えるとしたら、イエスだ」
『この話題は無限ループするから、この辺で』
「そうだな、正直、もう猛烈に眠くてやばい」
『や、そこはぶっちゃけちゃダメ。眠いけど』
「他にも感想一杯あるんだけどな。制約がな」
『キツイね。もう全然話にならないよね全く』
「てなわけでもう終わりにするか。おやすみ」
『はぁなんという尻切れトンボ……おやすみ』





すっごい大変だったわりには感想になってるのかどうか甚だ疑問ですけど、今はもうただひたすらに眠いです。
やっぱいるまんすげーと思えただけで価値はあったと思うので万事おっけーなのです。
まぁ、他にも色んな方が色んな感想書いてるわけで、その中にこういう感想があってもいいんじゃないかなーとか思います。
疲れますけどね。達成感噛み締めれますので。自己満足ではあったとしても。
ちなみに、次はインタビュー系の感想を書く予定です。

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Comments

No title
ちょ、ちょっと……!
入間さんの才能も流石ですが、天野寂さんの所業にも驚愕ですよ!!
これは、入間さんへの愛ゆえに成し遂げられる業ですね。
私には一生真似できません。
なぜなら、このコメントで真似してみようと思って四苦八苦しましたが、結局上手くいかず諦めましたから。

この短編は未読状態です。
『犬の道』、『道の犬』のアイディアにも感嘆しましたが、この作品の規則性には恐怖さえ抱きますね。まさに鬼才。
あー早く読みたいなー。
『”まるごと1冊”入間人間』カミングスーンぷりーず! ニュアンスだけ伝わればよろし!
Posted at 2010.05.07 (22:14) by つかボン (URL) | [編集]
Re: No title
そうですね、入間さんへの愛無くしては書けませんでしたねw
短編をいくつか読ませて頂いてつかボンさんの腕前は存じていますので、かなり嬉しいですよ。実力のある方に褒められるのは。
流石にコメントでやるのは無茶があるんじゃないですかね。
敬語とか使えなくなりますし。難しいです。

是非、『”まるごと1冊”入間人間』をお読みになってから、もう一度この感想も読んで頂ければ、と思います。
きっと良い、入間さんの文章の引き立て役くらいにはなると思うので。
これは所詮二番煎じですけど、本家は本当半端ないですから。まさに天才。
ニュアンスどころか、ディティールまでしっかり伝わってきました!いと待ち遠し!
Posted at 2010.05.07 (22:54) by 天野寂 (URL) | [編集]
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