美少女とは、斬る事と見つけたり 感想

眉目麗しい黒髪ロングが表紙を彩る『美少女とは、斬る事と見つけたり』感想です。

♦美少女とは、斬る事と見つけたり
kirukototo.jpg
著者/入間人間 イラスト/珈琲貴族

「お前は、私をどう殺すの?」
僕が出会った怪物の名前は、春日透。


 その美少女は人斬りだった。

 祖父の家に『刀』が飾られていて。
 それを振るう『性』を持ち。
 『力』があることは運命なのだと。
 彼女は信じて疑わない。

 かつて「事故」で両腕の機能を失った女子高生・春日透は、人を殺してみたいと願っている。世界に害を為す「超能力者」は一人残さず斬り殺す。辻斬りを邪魔する奴も全員殺す。そうして日本刀を口に咥え、彼女は今宵も獲物を探し回る。
 だがある日、彼女が一度殺し損ねた男が、復讐のために近づいてきて……。
 愛憎が交錯する本格異能バトル、開幕!

キャッチコピーは『その少女、狂刃につき
目次見た瞬間に「あ、これ絶対続くやつだ」と確信させる、見事な序章でした。
超能力もの、1巻まるまる序章だけで終わるという『トカゲの王』のセルフオマージュを思わせる構成でしたが、こちらの方が断然面白かったです! 少なくとも1巻時点では。
トカゲくんの能力は戦闘に関してはマジで欠片も役に立たない能力でしたけど、透の能力には無限のロマンが広がっていますよね。
次はどんな使い方で魅せてくれるのかというわくわく感が違いますわくわく感が。

本編に入る前にイラストの感想から。

表紙
何度見ても惚れ惚れするので何度でも言います。
美しいっ!!
他のイラストも素晴らしかったですけど、やはりこの表紙の透がベストなのは揺るぎません。

裏表紙
かわいい。

ピンナップ表
まさかの黒髪ロング要因その2…だと…?
しかも、イラストだとちょっと微妙な色合いですが、おそらく陽さんも黒髪ロングと見てよろしいんですよね?
最早最高以外の言葉が見つかりません。最高。

今回のメインキャラクター達のネーミングはいるまんにしては珍しくラノベっぽさがあると感じました(それが良いとか悪いとかではなく)
共通点としては名字に『日』が入っていること。名前が漢字一文字であること。
そして、組み合わせると単語になること。透明、陽光。
透明の二人にとって陽光の二人は太陽のような存在だということを暗示しているのでしょう。多分。

ピンナップ裏
抱き枕カバーはいつ発売ですか?
イラストについては「ここは天国ですか?」の一言に尽きるんですが、こんなシーン本編にありませんでしたよね?
数少ないカラーページに全然関係ないシチュエーション入れるのは正直あんまり嬉しくないです。

序章『透』

試し読みでの感想をそのまま流用している部分には下線を引いてあります。

まずざっと一読してみた感想ですが……想像していたのと全然違ぇ!!

世界に害を為す「超能力者」は一人残さず斬り殺す。辻斬りを邪魔する奴も全員殺す。

あらすじ(↑の部分)から、殺すのは超能力者とそれを邪魔する者だけの超能力者狩りガール的なお話だと思っていたら、人殺し自体を楽しむとんだシリアルキラーだったという……え、春日透が本作のヒロインなんですよね?
よもやアオミドロもとい新城より危ないサイコパスが出てこようとは。
しかも、ヒロインとして。
攻めてきましたね、きるまん(斬間人間の愛称)


これも予想外だったんですが、彼女自身も超能力者なんですね。
冥王星O風に言うなら、【物を透明にする女】と言ったところでしょうか。
しかも、効果範囲→ほぼ無制限、発動条件→不明ですがかなり緩そう、持続時間→無限、とヒロアカの透ちゃんの完全上位互換というチート性能(透ってつまりそういうことだと思うんですが、いるまんがこういう名付けするのって珍しい気がします)

思ったより制限ありましたね。
発動条件は『物体を傷つけること』で、意志の有無等に関係なく発動してしまう融通の利かなさが大きな欠点のようです。
持続時間は永続だが、能力者の死によって解除されるかどうかは不明。
かなり曖昧だなと思ったのが効果範囲で、傷つけた物体が透明になる→生物の場合は体液等まで全て透明になる、ここまではいいんですが、上半身を斬りつけて一緒に切り裂かれたシャツが透明になる→納得できる、全く傷ついていないはずのズボンや靴まで透明になる→解せない。
血が染み込むにしても時間がかかるでしょうし、勝手に満遍なく染み渡るとも思えませんし、この辺りは色々と引っかかりました。
隠密行動、隠蔽工作に持ってこい、まさに殺人にうってつけの能力で、透が運命を感じちゃうのも仕方ない『力』ですね!
自在に透明化はできませんでしたが、透明マントを作れることも考慮すればやっぱりうってつけです。

それでは、冒頭から順を追って感想語っていきます。

激闘の末、更地になったのかと思ってましたが、透の能力で一帯の物体を消してたんですね。
いくらなんでも無体すぎるでしょ、その能力……

例えば道路を傷つけた場合、どれくらいの範囲まで透明になるんでしょうか。
入間さんの三人称、また一段レベルアップしましたね。
たった2ページでありながら、睨み合う両者の立ち居姿はもちろん、二人の間に流れる緊迫した空気までもがありありと伝わってきます。
ところで、何かすごく既視感を感じた方はいらっしゃいませんでしょうか?
ラストの展開を冒頭に持ってくる構成といい、相対する異形の二人といい、そう、これはまさに入間版シグルイ!!!
両作品共にタイトルの由来が『葉隠れ』なのを考えても間違いないでしょう。
入間版シグルイやるんだったら超能力とか無しでガチの実力勝負が見たかったなぁ
なんで講談社タイガはいるまんを引き抜かなかったんだ!


竹箒を咥えて掃除する黒髪女子高生……シュール、とってもシュール。
なのはいいとして、ばっちぃよ! 掃除用具を咥えるのはどう考えてもばっちぃ!
てか、両腕使えない子にも掃除させるとかすごい学校ですね。

ある日、前触れもなく。
消えてしまったらみんな、どんな顔になるだろう。
周りが私を見るような目に、なるのかもしれなかった。

彼女の能力を考えると最初と全く違う意味に思えてきて怖いです。
おそらく両腕が不自由な彼女に普通に接してくれる数少ない存在であろう中学からの同級生を一貫して『同級生』としか呼ばないところから彼女の人間性が垣間見えます。

『同級生』呼びはここだけで、後は普通に『友人』と呼んでましたね。
この同級生だけは友人と認めたくないということでしょうか(だとしたら酷い)
なんていうか、日常生活は如何に普通の女子高生を演じるかしか考えてないというか、効率よく人を殺し続けるために必要だから仕方なくって感じにしか思えなくて、一番危ないタイプの殺人鬼じゃないですかヤバすぎる。
そこまでドライなわけではなく、日常生活も大事にしつつ、殺人との両立という困難にカタルシスを覚えるド変態ってだけでした。余計ヤバい。
かと思ったら、あぐあぐって……あざといな流石黒髪ロングあざとい。

超能力が世に認知されてから、十三年が経つ。
そのあたりのことはよく覚えていた。当時住んでいた地域で大々的な争いが起こり、その後に世に公表されたからだ。それまで社会の影に隠れて好き放題していた超能力者の存在が一人の人間によって露見し、表立った大規模な事件となったことで世の常識となった。

超能力者がいるということは『トカゲの王』と同一世界と考えて良いのでしょう。
超能力者の存在が一般人に認知されるようになった大事件とやらにトカゲくんが関係しているのかはともかく、『トカゲの王』から少なくとも13年以上経っていることが分かります。
『トカゲの王』の超能力者たちは影に隠れて好き放題しているって感じはありませんでしたけど。

1巻を読む限りは『トカゲの王』との繋がりを示唆するような描写はありませんでした。
もしかしたら、関係ない可能性もあるかもしれません。
まぁでも、超能力者が出てきてて、全くの無関係ってことはないと思いますが。

「子供といえばうちの孫、明と言うんだが去年は生徒会長をやっていてなぁ……」

『去年は』という部分はミスでしょうか?

日常生活で足を使って扉開けてるの!?
スカートの中見えちゃうじゃん!
乙女としては由々しき問題なのでは?


電話の掛け方すごい。
でも、現代だったら音声認識&ハンズフリーで電話くらい掛けられますけど。

緊張するってのは取り損ねて怪我したら、能力が発動するから?
だとしたらそんな綱渡りみたいな掛け方しませんよね。

え、食事も足でできるの?
想像しただけですごい格好ですね……扉開けるのの日じゃないくらいパンモロになると思うんですけど大丈夫なの??
身内はいいとしても、学校とかではどうしてるんでしょうか?
普通に友人たちと食事摂っているみたいですし。

箸は人前では使えないのがもどかしい。

スプーンならまだしも箸も使える…だと…?
人前で使えないのはスプーンの比じゃないくらいパンモロしちゃうからなんでしょうか。とても気になります。

刺し箸とかもNGなわけか……なるほど、確かに不便な能力です。

事故に遭ったのが七年前ということは当時小学三年生。
あらすじ時点ではその事故で両親を失い、両腕も失って祖父に育てられたのかと思っていましたが、そんなこともなく。

 父親は電気屋に勤めて、母親は塾講師。兄はただの大学生で、弟もありがち中学生。
 ごくごく普通の家である。だけど、そこに私が生まれた。
 無から有は生まれるのだ。

いわゆる、純粋悪。
生まれついてのサイコキラーとか手の施しようがありません。


ちょっとばかりおばかさんな透ちゃんかわいい。

あ、着替えは一人じゃできないんですか。
箸使えるくらいだからそのくらい余裕かと思ってました。
まぁ、パンスト履くのは足だけじゃ絶対無理ですよね。
口使えばいけそうな気もしますけど、破れたり唾液でベトベトってオチが待ってそうです。


足首から下だけ出てたのは透ちゃんのうっかりミス?
透明マントから足だけはみ出ちゃってたんですね。かわいい。

「ちぃっとやりすぎたのかもなぁって」

男パートのミスリード臭がやばいです。
いるまんがわざわざ交互に視点を替えてる時点で何かあると思ってしまう体質なので気のせいの可能性も高いですけど、この相方も超能力者なのでは?
男は殺されて、次の男パートの語り手は別の二人とか。
まぁ、序章からいきなりそんな分かりにくいことしないだろって言われたらその通りなんですけど。

自分の予想したミスリードではありませんでしたが、やっぱり後の伏線でしたね!
相方が超能力者というのも正解でした!
それを踏まえると、相方の例え話も違った意味に思えてきます。

抜刀の仕方かっこいい……!

挿絵だと木に刀刺して、根っこの上に座ってるようにしか見えないんですが、殺した相方の上に座ってるってことですよね?
自身の透明化は気を抜くと解けるっぽい?

桜の花びらが付いたからって透明化が解除されるのはよくわかりません。

あっけなく殺されてしまったというのに、なんという幻想的な最期。
致命傷の痛みをも凌駕する、自身が消えていくという恐怖。
己が見えなくなって見えたのは、邪魔するもののない世界、その美しさ。
あらすじから推測するに、この男が生き長らえて彼女に復讐するという展開になりそうです。
でも、復讐ではなくもう一度あの景色を見るためだったっていう展開の方が素敵なので、期待してます。
それはそうと、生き残ったとして彼はあのまま透明人間になるはずなので、冒頭の怪人ではありませんよね。
とてもじゃないですけど、1巻で終わる気がしません。

冒頭の怪人じゃありませんでしたね……この章は本当の本当に序章の序章だったと。

本当に楽しそうに人殺しますね透ちゃん。るんるんじゃん。
てか6人も殺してたんだ……くわえて運ぶとか顎力はんぱないってレベルじゃねーですな。
もう薄々そうだろうなとは思っていましたが、女性の行方不明事件の犯人も透ちゃんだったと。
今までに一体何人殺してきたんでしょうねこのマッドガールは。
壁は高い方が燃えるっていう上昇志向が強いところは素晴らしいんですけど、もっと違うところで発揮してほしかったな!


あらすじの世界に害を為す「超能力者」は一人残さず斬り殺す。って大分語弊ありますよね。
語弊じゃなかった! 全然嘘ついてませんでした!
世界に害を為すから殺すわけではなく、自身の障害になり得る存在であり、一般人よりも殺しがいがあるから殺すってノリですもん。
こんな設定にしてどんなオチにするのか、全く予想がつかないという意味で結末がすごく楽しみです。

町の人間全員超能力者でしたってオチは予想外過ぎました。

序章―2『明』

人を殺してみたい。
だけど誰にも知られたくない。脅かされたくない。
幸せに生きて、幸せに殺し続けたい。
そんな私の願いをすべて叶えた、夢のような日があった。

これほどの身勝手がかつてあったでしょうか。
『幸せに生きて、幸せに殺し続けたい。』っていう日本語ヤバイですね。
でも、「あぁ、この娘も入間主人公だなぁ」って。
彼女には彼女なりの幸せがあって、それのためなら手段を選ばない。
ただ、他の主人公達がディフェンス寄りなのに対し、彼女は些か攻撃的過ぎますが。

めっちゃぼかされてますけど、この事件ないし事故というのは超能力絡みなのは間違いないでしょう。
両腕を失った代わりに同情という隠れ蓑で透明人間となった少女。
そして、願いを全て叶える『力』を得、神になった春日透。

病弱で色白、伸びまくった黒髪という黒髪ロングのテンプレとも言うべき黒髪ロング少女、光。
クールで凛とした美しさのある透も素晴らしいですけど、だるーっとした愛らしさのある光もまた素晴らしいです。
そして、その黒髪美少女が黒髪美少女の髪を足で纏め、口で結う、という想像するだけで血圧の上がる光景が繰り広げられるなんて……カラーイラストにするならここしかないだろ! 担当は何やってんだ!(マジギレ
黒髪美少女にあーんする黒髪美少女と、黒髪美少女にあーんしてもらう黒髪美少女……カラーイラストに以下略!

十中八九、光も超能力者でしょう。
幼い頃から病弱なことに関連した能力っていうと一体なんでしょう?
透の素顔についても少なからず感づいていそうです。

え、親しい人間も殺害対象になり得るんだ……

 私は快楽殺人者かもしれないが、殺すにしても、やはりそこに意味が欲しい。
 無差別な人殺しはよろしくない。
 他の生き物の肉を食らうとき、感謝するように。
 相手の都合も未来も意思も全部かっさらうのだから、礼儀は必要だ。

己の美学に則ってる辺りがリアルというかなんというか。
人を殺すことの意味を考えた上で殺す、救いようの無さ。

陽明姉弟は『いもーとらいふ』に引き続き近親愛ですね。
明もこの時点ではまだ姉想いな弟だったのに、いきなり話が飛んだかと思ったら、末期のシスコンだったの巻。

姉の飾り気のない下着を握り締めた、過去の自分は未だに肩を叩いてくる。

え、今真面目な話してませんでしたっけ?
この流れで姉は超能力者だって明かされても、事前のインパクトのせいで薄れちゃうよ!

自己評価低い! いや、B-くらいはありますよ。
血を塗りたくった布=透明マントのようですが、わざわざそんなことしなくても、布自体を直接傷つければいいのでは?
わずかな傷で発動する欠点を逆に有効活用すれば可能だと思うのですが、そうしないのは透がおばかさんだから?
メタ的に考えると、血を塗りたくった布の方が狂気を演出できるからとかでしょうか。
間違えて舌や頬の内側とか噛んじゃったら透明になってしまうと考えると、気の休まるときが少ないというのも頷けます。

中学生になったばかりの頃はまだ人を殺していなかった。
祖母がなくなったのは二年前。
彼女が初めて殺した人間はもしかして……?
いやいや、流石にそれはないはず。ない、はず。ない、よね……?

「うんっ」
 人を殺そうと、思った。

爽やかすぎる情景描写と最後の一文がマッチしてなさすぎる!

このパートは一行に纏められますね。
姉さんは素晴らしい。以上。

生徒会長で剣道部部長……はて、どこかで見たような。
たしかあのみーくんはサッカー少年でもありましたよね。
閑話休題。
ここで語られている『音が視える』=超聴覚が陽さんの能力?
でも、耳が良いのは視力がない生活で培われたからで、能力はまた別にある方が面白いので、楽しみにしておきます。

自分の可能性を試してみたい。
聞こえだけならとても良いのですが。

一体、私にはなにができるのか。
腕の使えない自分に、どこまでやれるのか。
それを他人の人生を台無しにしながら、見定めたい。
なんてはた迷惑な自分探しだろう。とてもはんせいする。

とてもはんせいする(ひらがな)

透と明。
作中でも度々言及される二人の類似性。
本作はよくある対照的なW主人公ものではなく、鏡写しのようにそっくりなW主人公ものですね。
四六時中、殺人/姉のことだけに思いを馳せ。
本能に従い、人を殺し/姉を愛し。
己が人を殺す/姉を愛するのは運命だと信じて疑うことはなく。
人当たりの良い偽りの仮面を被り、世を欺く。
そんな瓜二つな二人が敵対し、殺し合う。
その様、まさにシグルイ!
あぁ、今から冒頭の決闘が楽しみで仕方ありません。

不腕の剣士と盲目の剣士。どっちも剣士違うけど。
藤木と伊良子の対峙を思わせる、その邂逅。
その様、やはりシグルイ!(しつこい

スイッチの切り替え早っ! 善即斬ですねこの娘。
一方、姉電波を受信した生徒会長もつよい。
咄嗟の反撃が首への噛み付きって……咄嗟に出るのは足じゃなかったのか。
この場で一人、あらあらまぁまぁって感じの陽さんからは遊里さんと同じ匂いがしました。

邪魔したあいつ絶対許さない、逆恨みってマジ怖い。
しかし、ハードル上がって昂ぶるド変態とかどんな状況でも楽しめるじゃん最強かよ。
ボツになったサブタイトル『透明人間ノ殺シ方』はやっぱりそのままでも良かったかもなって思いました。

序章―3『無明』

章題を見て「来た! 無明逆流れ!」と盛り上がったのは私だけじゃないと信じたいです。

あんなことがあった直後に覗きについて考察し出すとか、こ、こいつ本物だ……! 本物のド変態だ!
てか絶対過去に覗いてるよね? で、絶対姉さんにはばれてるよね?
透明人間になった自分が家に戻ることでそれを認識できる姉が異端視され、異能がばれるということは陽さんの能力はやはり『音が視える』ことなんでしょうか。

頭おかしいんじゃないだろうか、あいつ。

明も透にだけは言われたくないと思います。

透明人間になった人間の苦労描写がリアルです。
透明だけどすり抜けるわけではないから道を歩くときはかなり注意する必要があったり、目測を誤ってものにぶつかってしまったり、怪我をしても傷の確認ができなかったり。
特に最後のはすごい怖いですよね。
知らずに怪我をして、気づかないうちはなんともなかったのに、傷を見た瞬間痛くなってくることがありますけど、透明の場合、気づいたときには出血多量で手遅れってこともあるわけです。

 きっと、長い家出になる。そう言い訳して、タンスを開く。
 姉さんの下着類が入っているそこを覗くだけで心臓が痛い。ずきずきしたものを堪えながら、飾りのない下着を一着、手に取る。そして、握りしめる。
 それだけで、涙が溢れて止まらない。
 姉さんは僕にいつも、希望を与えてくれる。

こっちは笑いが止まらないよ!
姉の下着握りしめて泣く姿とか親が見たら泣く。透明で本当良かった。透明万歳。
ってかお前常習だろ! さっき過去の自分とか言ってたけど、1週間前とかそういうアレだろ!
陽さん絶対気づいてるんだろうなぁ。気づかないふりをしてあげてるんだろうなぁ。優しいなぁ。
趣は違えど、救いようの無さも透とタメを張ってます。

意識した『ッス』喋りは某作品の某長瀬さんちの娘さんを思い出します。
葉子が明神家の塀を上って不法侵入しようとしていた理由はついに分からず終いでしたが、超能力者絡みであろうことを考えると陽さんの勧誘だったと考えるのが妥当でしょうか。
問題はどうやって陽さんが超能力者だと知ったのかですが、それはあれですよ、超能力者同士は惹かれ合うもんなんです。

透明人間のメリットに気がつき、ダークサイドに堕ちかける明を引き留めたのはやはり偉大なる姉の存在でした。

誰かに嫌われたくない。疎まれたくない。
僕らが悪いことをしないためのブレーキなんて、それで十分なんだ。

シンプルでわかりやすく、一番納得できる理屈だと思います。

やっぱりパンモロになるよね!
てっきりその辺りについてはもうスルーされるかと思っていたので、ちゃんと言及されてすっきりしました。
でも、見えることわかってるんだからそこは対策を講じるべきなのでは? とも思ったり。

そっか、丸呑みしないとダメなんですね。
囓る系は全部アウトとか想像以上に不便な生活です。

受話器を肩でに挟んで通話する透の挿絵は素晴らしいのですが、ここの明は透明人間になっていることが分かるように描いてほしかったです。
浮いている受話器だけで十分でした。

姉の下着を握り締めて禁断症状をやり過ごす。
姉の下着の万能感すげぇ。
これでスーハースーハーしてたら完全に変質者でした。握り締めてるだけでも十分アウトですが。

おそらく次巻以降で敵となって立ちはだかるであろう超能力駆除係。
その立場上、彼ら自身は超能力者ではないはずですが、超能力者である予感しかしません。
非能力者に力を貸すことで公に認められた超能力者狩り超能力者集団じゃないかなーと夢想してます。

孤独に震え、「なぜ、人を殺せるのか」と頭を抱える透明人間。
余韻に浸り、「お前は、私をどう殺す?」と愉悦に笑む殺人鬼。

「超能力者同士はいいッスよねぇ。簡単に殺せるし、気軽に殺せるもの」

ああ、この娘も同類か。

序章―4『悪手』

お、お祖父ちゃんが……

床に倒れた鞘を蹴り飛ばして部屋の隅にやると、その動きを見たお爺さんが咄嵯にスーパーの荷物を放り投げて両手を突き出してくる。普通ならまずあり得ない動きだった。
 あぁやっぱり、と笑う。でも、それじゃあ遅い。

最初はお祖父さんは何か武道の心得があり、それで迎え撃とうとしたのだと思ったのですが、そうではなく能力を使おうとしたんですね。
でも、もうそれも間に合わなかったと。

祖父が殺されているのを見て、真っ先に自分を疑う。
すごいメンタリティ。伊達に人殺しまくってないですね。

透明な肉塊ってもしかして殺した人間の?
だとしたらどん引きってレベルじゃないし、透明だろうが匂いでばれますよね?
せめて透明にしたジャンプとかにしておきましょうよ。

田沼葉子は【金属を操る女】といったところでしょうか。
自由自在とはいかないところと金属アレルギーに由来した能力であることを考えると、『一定距離にある金属に対し、反発する力を出せる』くらいかなと。
にしても、女の子だろうと容赦ないですねいるまん。
肩にハサミはやめたげて。見てるこっちが痛いから。

 思わず吐露してしまう。
「たまらないわ……」
 ただ、幸せになりたいだけなのに。
 困難に見舞われて。
 災難が襲いかかり。
 思い通りになんて、決していかなくて。
 本当に、たまらない。
 あぁ、あぁと。恍惚に、骨が打ち震える。
 法悦とは正にこのことだ。
「人生は、こうでなくっちゃ」
 俯き涙したくなるほどの困難がある。
 人知を超える災難がある。
 そして、その試練に立ち向かう勇気が人にはある。
 思い描く人生への理不尽なる暴力を乗り越えて、思い通りにねじ伏せていくことの、なんという快楽か。私は今、危機に陥っている。大変である、死にそうである。
 それは幸せに向けて実に順調に歩んでいるということに他ならない。
 これを喜ばないでいられるものか。

ド変態殺人少女の畜生っぷりここに極まれり。

「……お祖父様、悼みます」
 たとえあなたがどんな過去を持っていても。
「忘れたくないことを、たくさん頂きました」

祖父が超能力者であり、何をしてきたのかも知っている口ぶりですね。
そして、最期の手段として透が選んだのは祖父の家の透明化でした。
ここでまた疑問なんですけど、家に刀を突き立てて透明になるのは家だけだと思うんですけど、家具やらなんやらも纏めて透明になっているんですよね。
ここから導き出される結論は、透明化の効果範囲は透の認識によるものであるということです。
つまり、透の認識では家=屋内にある家具や日用品を含むもの、人間=着用している衣服や靴を含むものであり、その一部を傷つければ全体に能力が及ぶ、と。
葉子も驚愕してますが、すごい能力ですよね。
その気になれば地面に刀を突き立てて地球そのものを透明にすることもできそうです。

また別の疑問として、透明化した物体に覆われると透過せず透明の一部になるはずなのに、家に覆われているはずの二人が透明化せず透過しているのは何故か、というのがあります。
完全に覆われていないとダメとのことですが、1階から見た2階、2階から見た1階は完全に覆われているはずじゃないですか。
まだまだ未知数な能力ですし、色々と例外があるのだと思っておきます。

で、肝心の祖父宅透明化作戦の首尾ですが、これは考えましたね!
透明な家に閉じ込められるという恐怖も与えられますし、不意を打つしか戦いようがない透にはうってつけのステージと言えます。

必勝の構え! やっぱりシグルイじゃないですか!
無明逆流れ透改! 飛び道具で傷つけても能力発動するとはますます持って最強か。
しかし、それも囮。
真の狙いは不可視の炎。
題して、『かちかち山作戦』。
ハサミがかちかちなってるのも、それを意識してるに違いありません、うん。

早くもアイデンティティである日本刀を失っちゃいましたね。
長物でないと斬ること難しくなることは語られていましたし、同じタイトルではなく『○○とは、○○と見つけたり』というシリーズになるのかもしれません。
にしても、肩に突き刺さってるハサミがシュールです。

次章『超能力』

この章はこの一言に尽きるでしょう。

「この町の連中はみんな超能力者だ。それも人工ものばっかり。そいっを世間から隠すために、俺たちを利用しようとしているんだよ」

な、なんだってー!!

総評
面白かったです! めっちゃ面白かった!
ここ最近のシリーズ1作目の中では頭一つ抜けて面白かったと思います。
本筋ももちろん気になりますが、最後の最後に明かされた事実、あの情報開示は卑怯ですよねー。
早く続き読ませろや! もうほんとその気持ちでいっぱいです。
でも、続きがあるとしてもかなり待たされるんだろうなーという負の信頼感が……それだけが唯一の不満です。

あとがき短っ!

よほど売れ行きが酷くなければ次巻に続きます。

あ、そうですか。
こんなにテンション下がるあとがきもあるんですね。
売上が酷くて続きを出さない可能性があるなら、せめて1巻だけでも完結する構成にしてほしいものです。
せっかく面白いのに、作品と関係ないところでストレス溜まります。

私の子ではないってなんか意味深……と、冗談はさておき、兄間さんのお子さんですか!
やっぱり一時期の赤ちゃん描写が真に迫っていたのは甥っ子ちゃんもしくは姪っ子ちゃんの影響だったんですね!
いいなぁ、かわいいんだろうなぁ、著者近影とかに写真載せてくれないかなぁ。

著者近影
色の問題じゃなくて、中身中身!
完全にアウトー!!

珈琲貴族さんコメント
カバーイラストの違和感というのは、よく見ると接地していない=浮いているように見えることでしょうか。
で、本編を読むと透明化した物体(おそらく死体)の上に座っているからだとわかる、と。

Leave a comment

Private :

Comments

「(姉さん…姉さん…姉さん…)落ち着くんだ…『姉さん』の匂いを嗅いで落ちつくんだ…『姉さん』は至高の存在…ぼくに勇気を与えてくれる」って脳内変換されました。

世界観の点、超能力者が認知された大規模な争いっていうのは「トカゲの王」読者としては色々期待してしまう所がありますね。まあどんな展開であったとしても、巣鴨さんは死んでないでしょうが…。13年経ってたら大人の女性の魅力も加わって畜生スマイルに磨きが掛かっている事でしょう。
しかしトカゲの王世界線は本当に酷いなぁ。破滅へと突き進む世界って感じが結構好きです。

超能力について。
透の能力に限らず、この世界の能力は本人の認識が大きく影響してそうな感じはしますよね。カワセミの能力制限もカワセミ本人が「人間の腕程の大きさの物を瞬間移動させたんだ、何かリバウンドが無ければオカシイ」と無意識に思い込んでいるからそうなったと考えられなくもありません。
まあ入間さんの設けた設定がガバガバという可能性も否めませんが…。でも中二病バトル物ってのは勢いが大事だからある程度の納得力(なんとなく納得させる力)があれば問題ないですよね。ジョジョもよく考えたら「おかしくね?」って事沢山ありますし。

Posted at 2015.08.14 (15:12) by HOMA (URL) | [編集]
Re: HOMAさん
握り締めるだけであの効果ですから、匂いなんて嗅いだら過剰摂取でオーバーヒート必至だと思います。
明のパワーアップイベントが楽しみです。色んな意味で。

巣鴨はまず間違いなく生きているでしょうね。
逆にトカゲはとてもじゃないですけど生き残っている気がしません……『トカゲの王』に関しては結末を決めてあり、続きのない終わり方になるかもしれないと仰っていましたし、それってつまりそういうことなのかなと。
実際何度も破滅して再興して破滅して再興して……を繰り返してますからねこの世界。

自分で自分の能力を制限してしまっている、というのは面白いですね。
能力者本人の認識次第で限界を超えるって展開も熱いです。匙加減が難しいですが。
今回のVS葉子は細かい粗を吹き飛ばす勢いと納得力があったと思います。
納得がすべてに優先しないこともあるということですね。

天然→トカゲやカワセミ、人口→ナメクジ、であるとするならば、『トカゲの王』読者としては自称・ガイコクジーンの彼女の登場を期待してしまいますね。
Posted at 2015.08.15 (02:27) by 天野寂 (URL) | [編集]
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
02 03
発売カウントダウン!
入間人間著作一覧
2/26更新

刊行年月日順リスト

シリーズ別著作リスト

刊行予定リスト
天野寂のお気に入り
Profile

天野寂

Author:天野寂

“あまのじゃく”と申します。
読書メーター始めました。

このブログについて

Recent Entries
RSS
Recent Comments
Categories
Archives
FC2カウンター
RSSリンクの表示
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QRコード