しゅうまつがやってくる!―ラララ終末論。I― 感想

入間さん初のソフトカバー『しゅうまつがやってくる!―ラララ終末論。I―』の感想です。

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愛のうた、ひとついかがですか――
文崎 双葉(あやさき ふたば)は普通の恋をしていた。
相手は通学の途中、5分だけ一緒に過ごす男の子。
だが、あるメールをきっかけに日常は一変する。
『コンニチハ、☆のひと! きみたちにステキな“しゅうまつ”がおとずれますように』。

『アリガトウ、☆をみるひと! わたしたちにステキな“しゅうまつ”をとどけてくれて』
章題が思いっきりFF5パロですけど、これは入間さんかささくれさんどっちのアイデアなんでしょうね?
どちらもSFC世代なので迷うところですが、七章立てになっていることを考えるとささくれさんっぽい気はします。
ささくれさん“7”って数字大好きですからね。
というか、終末シリーズで7つの歌って言ったらそれはもう『*ハロー、プラネット。』(以下、ハロプラ)でミクが集めた7つの♪のことに他なりません(※個人の感想です)
最後が『あいのうた』なのも、きっとそういうことなんでしょう。

Interlude 1 静かな戦争――日本
原曲の冒頭“国のエラい人 こぞって机とにらめっこ 何も進展ないよ 知ってる現実だけ知らんぷり ”に当たる部分ですかね。

一章『すばやさのうた』

やはり片想いを書かせたら入間さんの右に出るものはいませんね。

弛みすぎず、張り詰めることもない紐。間にあるのは、そんな関係。
お互いにそれをなんの気なく握っている。ように、少なくとも私は見せかけている。
本当は、命綱みたいに握りしめていた。

こことかすごく入間さんを感じます。
恋する乙女こと双葉の心理描写は読んでいるこっちまで顔が熱くなってきます。
一人で勝手に色々考えては喜んだり落ち込んだりしてる姿がかわいいです。14歳かわいい。
最近の入間作品で言うと『安達としまむら』の安達をすごく感じました。毎回反省会してるあたりとか特に。

アンドロイドが普及した世界であることは以前から名言されていましたが、私が想像していたものとは大分差異がありました。
人類の新たなパートナーとしてアンドロイドがヒトと仲良く共存している世界を思い描いていたのですが、作中ではアンドロイドはあくまでもお手伝い用のロボット=家電製品の延長という扱いでした。
ここでちょっと脱線します。
私は深蒸しまんじゅうさんの終末シリーズ考察(かなり有名なのでご存じの方も多いかと思います。以下、深蒸し考察と略します)を8割くらい支持していて、ハロプラに関してはほぼ100%正解で良いと思っている内の一人です。
しかし、小説の設定だと☆をみるひと=ウタカタミクが地球を見守る動機『ヒトとキジンが仲良く暮らす世界の結末を見届けたい』というかなり根幹的な部分が成り立たなくなってしまうんですよね。
話を戻しますが、小説の世界では☆をみるひとの目的は別にあるということになります。
ここに限らずですが、音楽から小説になったことで謎が明らかになるどころか、明らかにどんどん謎が増えていきますよね……

『終末は訪れる』とか『星を理解せよ』から滲み出すFF7感。
FF好きすぎでしょ二人とも(違

同じ形の幸せを、飽きもしないで手のひらに集め続ける。

お気に入りの一文。
その幸せを幸せとして大事に思える双葉はとても幸せだと思います。

Interlude 2 残すもの――ヨーロッパ
意味深――もう意味深としか言いようがないです。
彼も目覚めたゲームプレイヤーの一人なのかなって想像するぐらいですね。
世界規模で得体の知れない何かが始まろうとしている、もしくはもう始まっているのかもしれない。
そんな感じに思っておけばいいんじゃないかなと(適当)

二章『ゆうわくのうた』

がっつり『ぼくらの16bit戦争』(以下、16bit)への伏線ばらまいてきましたね。
目覚めたプレイヤーには空白の回答が読めるんでしょうね、多分。
小説読んで余計に16bitが何を指すのか分からなくなってきました。

ピヨスケかわいすぎでしょ。うちにもほしい。ドア開けてあげるから。
ところで、ハロプラのラストに出てくるヒヨコってピヨスケですよね?
ピヨスケの大活躍に期待してます。

唐突ですが、宣伝です。
現在発売中の電撃文庫MAGAZINE Vol.47に本作の前日譚となる『しゅうまつがくるまえに!』が収録されています。
これを読むことでお互いのニヤニヤ度が加速度的に高まるので、悪いことは言いません、未読の方はぜひ読みましょう。
ニヤニヤは置いておいても、終末シリーズの謎に迫る内容になってますので、余すことなく楽しみたいなら読まなきゃダメ、絶対。

しゅうまつがくるまえに! 感想

というわけで、前日譚を読んでいると彼も偶然を装っているんじゃないかって妄想する双葉を見守る際のニヤニヤがエンドレス。
先生、空気読んでくださいお願いします。

Interlude 3 ねがい――アメリカ
深蒸し考察が正しければ、空から降ってくるもの=人工衛星ですね。
元々あった核シェルター的なものに避難したのではなく、事前に降ってくることを予測した上で、それに備えてシェルターを造っていた……これも私の想像とは違いました。
端っから落とす気満々ですよねこれ。

三章『レクイエム』

おばさんが納屋から出してるもの、ハロプラの“たいせつなモノ たくさんあるけれど”のシーンに出てくるものと一緒ですね。
傘はないですが、傘は、ねぇ(伝われ

これで双葉の好意に気づいていないんだったらゼター(男の子のハンドルネーム)君、鈍感主人公の鏡になっちゃいますよ?
なんでしょうね、この少女漫画を読んでいるときのようなこそばゆい感覚は。
原曲がそもそも少女漫画チックなところあるので、忠実といえば忠実なんですけど。

一陽が観ているドラマ、ヒトとキジンシリーズを想起しちゃいます。
新型のアンドロイド=ルカですかね。
これに関しては後でそれらしい描写があるのでそのときにまた。
遠くの国の爆破事件。
『爆発物なんて見当たらないような町中』『夕焼けが陸地に落下したような散々たる有様』と明らかに上から何か降ってきたっぽい雰囲気。

オイ、ピヨスケw ほんとかわいいなこのヒヨコw

Interlude 4 境界線――ヨーロッパ
反政府運動ということは、これも16bitの前振りでしょうか?

四章『えいゆうのうた』

二人の出会いを男の子視点から描いた前日譚『しゅうまつがくるまえに!』収録の電撃文庫MAGAZINE Vol.47絶賛発売中!(2回目)

双葉とミクのやり取りを見ていると『おともだちロボ チョコ』のトモカとチョコを思い出します。
特にミクがすごくチョコっぽいなって。

「ブルーベリーパイの空ですね」

マーマーレードの大地ですね!!(興奮)

「オハヨーハヨー」

ピヨスケ!!! お前だったのかよ!!!!!(大興奮)
この流れというか双葉の趣味が園芸だと公開された時点で、ハロプラの植木鉢は双葉からマスターへ、そしてミクへと渡ったものだろうと半ば確信していたのですが、結局渡さず終いで予想は大外れでした。
なのに、挿絵ではミクが植木鉢持ってる(しかも芽が出てる)のでややこしいです。
あと、ハロプラに関しては深蒸し考察がFAで良いと思ってるんですけど、小説のミクはちょっと、いやかなり大人っぽくて自分の中のハロプラミクのイメージと全然違うんですよね。
そもそも、このミクはもう既に“愛”を理解しているように見えてしまうというか。
それはさておき、ハロプラが一番好きな私としてはしゅうまつに予想外のハロプラ要素が入っていて嬉しくて嬉しくて言葉になりません。
早くハロプラが読みたいです。

ここで先程の新型アンドロイドの話がまた出てきます。
双葉の友達の近所の女の子=ルカのマスター=あのコでしょう。
引っ越していった二組の家族の共通点は最新型のアンドロイドを持っている=それだけの財力を持つ家庭、要するに富裕層であること。
お金持ちはお金で安全を買うことができるが、そうでないものは危険を知ることすらできない。
引っ越す前のおばさんのくたびれた様子や申し訳なさそうな態度はそういうことだったんじゃないかなと。

ゼター君は目覚めちゃったんですね……校長室への呼び出しは16bit機関(仮)から学校にオファーがあり、それに関する彼の意志の確認および手続き諸々ってところでしょうか。

案外とわるな双葉ちゃんかわいい。

なんと芽の出ない植木鉢がゼター君の元へ渡るとは。予想外でした。
これが巡り巡ってミクの元へ渡ることになるんでしょうか? なってほしいものです。

「じゃあ、必ず見せに来る。……約束するよ」

あぁ、それフラグだから。アカンやつだから。
でも、彼がこのときどんな気持ちで約束したのかを考えると……切ない。切ないです。

Interlude 5 幸せのかたち――南アメリカ
小さな集落さえも見逃さない何か。

五章『まりょくのうた』

めちゃくちゃ良い弟ですよね、一陽。

そして、この町にも“しゅうまつ”がやってくる。
PV通り、信号機が狂い、事故が起こり、徐々に広がっていく混乱。
そんな喧噪の中、見つけた彼の姿。
必死に追い縋るも願い叶わず、二人を繋ぐ紐は千切れてしまう。
挿絵で気づきましたけど、双葉の鞄に付いてるストラップささくれさんですね。

漫画の内容も色々と気になりますが、“自分たちの居場所を守ろうとする”のは入間作品に一貫するテーマでもあるなと。
機械を乗っ取っているよく分からない存在=この後出てくる“アレ”なんでしょうか?

突如、繋がった携帯電話。
会話する女性はどちらもアルト(16bitのGUMI)さんではなさそうです。
とにかくはっきりしたのは、オンラインゲーム“PanGeaR”の真の目的は現実世界でゲーム内のように戦ってくれるプレイヤーを集めることだったと。
『しゅうまつがくるまえに!』でのアルトさんの台詞『早く目覚めろ』が意味不明になりますが、二人の会話からするに段々と基準を下げていっているようなので、上の方のプレイヤーは覚醒したプレイヤーってことなのかもしれません。

何度目かの登場となる『星命教』、今まではスルーしてましたが、シェルターって単語が出てくると無視するわけにも行きません。
先程はシェルターに避難したのはお金持ちだったからって言いましたけど、星命教の信者だったからって可能性も考えられますね。
でも、信者だったら他の人にどんどん布教するのが自然な流れですし、少なくとも双葉のお隣さんは信者ではなかったと思います。
それ以前にちょっと前までかなり小規模だった宗教団体にシェルターを造るような資金があるとは思えないというのが正直なところです。

この女性はやっぱりアルトさんではないですね。
ゼター君に「追いかけておいで」って言っておいて、彼より後に町を出るのはかっこ悪いですし(ここ重要)
なにより、口調がアルトさんとは違います。

届くことのない、遅すぎる、告白。
ただ君との距離が今、肌と両手に伝わる喪失感 。

Interlude 6 16bit――アジア
16bit=戦争ゲームってことではないでしょうから、そもそも16bitという単語に特定の意味はないのかもしれません。
そして、UFOの存在が仄めかされます。

六章『ちからのうた』

☆をみるひとのしゃべり方かわいい。

『問題とはアレのことだね』

アレってなんだよ!!(マジギレ
小説で謎増やしすぎィ!! スッキリするどころかどんどんもやもやが増していくんですけど!!
まぁ、そんなこと言っていても仕方がないので頑張って考えてみましょう。
分かっていることを纏めてみると
・電化製品で好き放題に遊んでいる(自在に操ることができる)
・☆をみるひとの言葉を借りると、アレは☆をするひと
・☆をみるひとが☆に昔々に置いていったもの
・☆のひとが起こしてしまったもの
・☆のひとはアレに名前をつけていて、アレもそれを気に入っている(かも)
初めは☆をみるひとが☆のひとに授けた技術の総称のことかとも思ったんですが、意志があるっぽいのがよくわからないです。
☆のひとがアレを起こしてしまった件の、☆をみるひとが回避させた一度目というのは作中で何度か触れられている1999年のノストラダムスの大予言でしょう。つまり、☆をみるひとのおかげで人類は滅亡を免れたことになります。一度は。
深蒸し考察でいくと、アレ=人工衛星となり、衛星軌道上を回っていることを☆をみるひとが遊び回っていると表現していると考えることで一応の説明がつきます。
アレがやってきて繋がらなくなる=人工衛星が宇宙船と双葉の間を通過する間、電波が遮断されてしまうから、とこちらも同様に説明できます。
起こしてしまったというのは技術を再現してしまったってことでいいんでしょうか?
これに関しては続きでの解説に期待するしかないですね。
流石に小説で新たに出した伏線はきちんと回収してくれるはずだと信じています。

アンドロイドを破壊する両親怖い。
当然、そうなるのはわかるんですけど……。
お隣さんのミクやルカが引っ越したのは、こうなる前に避難するためだったっていうのもあったかもしれませんね。

『しゅうまつがくるまえに!』を読んでいると、双葉の叫びが二重に辛く響きます。
ピヨスケ……達者でな。

『アレが遠くで遊んでいる合間』、やっぱり人工衛星で正解っぽい、かな?
なんだかんだと優しい、☆をみるひと。

Interlude 7 つなぐもの――アメリカ
ゲームは初めから兵隊を集める目的だったわけではなく、途中から何者かに乗っ取られてしまったと。
何者かはアレに類するものではなく、逆にアレに対抗する勢力でしょうか。16bitの内容を考えると。

七章『あいのうた』

“しゅうまつ”が空から落ちてくる。

ピ、ピヨスケ……! この野郎いいとこ持って来やがって。アリガトーガトー!

この理不尽な世界に。
しゅうまつに彩られた人たちに。
今もなにかと向き合っているであろう、彼に。
愛のうたを、届けてください。

きみときみのあいするひとへ。
祈りよ届け。願いよ叶え。
『アラタなるセカイ』の桐島が浮かびました(宣伝)

そして、冒頭の繰り返し。
もしも、世界が滅ぶなら。この場所で。もう一度、きみと。
……え、なんか双葉死んじゃった? 生きてますよね? ね?

届かないのなんで? ねぇなんで愛のうた届かないの?
でも、きっと、いつか。彼の元にも。
そして、16bit戦争がやってくる。

Interlude 8 命の洗礼――東南アジア
人間VS人間。
アレ側の人間とアレに対抗する人間。

総評
終末シリーズの謎がはっきりするかと思いきや、余計に謎が増えてるじゃねーかよ!!(半ギレ
新たに伏線張りまくりだし、続きが待ち遠しすぎるぞコノヤロー!!
謎を全部明らかにしないで考察の余地を残すという原曲再現は狙ってるんですかね?
1冊毎にもっと区切りをつけてくると予想していましたが、この調子だと謎のまま詳しく描写されない部分がたくさんありそうな予感がします。
というわけで、入間ファン&終末シリーズファンという奇跡的な幸運に恵まれた立場から感想を言わせてもらいますと、どちらのファンもハッピーになれるステキなコラボをアリガトウ、☆のひと!
原曲の雰囲気を色んな意味で忠実に再現しつつ、かといって入間さんの持ち味を必要以上に損なうこともなく(もちろん、オリジナルに比べれば薄くなってはいますが)、限りなく理想に近いノベライズになっているのではないでしょうか。
そしてなにより、続きが保証されているこの安心感ときたら……そう、近年の入間作品(シリーズもの)に致命的に欠けているのはこれなんですよ……これだけ、これさえあれば他にはもう何もいらないんですよ……。
内容と関係ないところで余計なストレスを感じずにすむだけで、読後感が全然違います。
そんなわけで、遅くても3月には続きを出してほしいところ。できればそのまま3ヶ月ペースで刊行してくれたら言うことなしです。

あとがき
自分で言っちゃった!>変な名前

なんていうか、余所行きの良い子ちゃんモードなあとがきですね。
昔の人も餅は餅屋って言ってますもんね。ささくれさんももちもち言ってますし。
プロの腕前、しかと見せて頂きました。
また次巻でお手並み拝見させて頂きたく存じますので、よろしくお願いします。

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