いもーとらいふ〈下〉 感想

読めよさらば救われん『いもーとらいふ〈下〉』の感想です。

依存し合う二人の“一生”を描く
ちょっぴり苦い兄妹ラブコメ、完結編。

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 小説家になるという夢を叶えた妹。その事実は俺の存在意義を揺らがせた。
 弱い妹が好き。そして、妹に頼られる自分が大事。そんな独りよがりな想いに気付いたところで人生は引き返せない。
 だから俺は、妹と二人で一緒に暮らし続けることに決めた。俺には妹しかいない。これまでも、これからも。親から見捨てられても、世間から白い目で見られても。なるほど、気持ちの悪い兄妹だ。
 だけど血肉を分けた妹に人生を捧げて寄り添い抱き合って我が道を行く。
 俺の人生はこれで満足だ。

いもーとらいふいずはっぴーえんど。
にーさんらいふいずべりーべりーはっぴーえんど。
表紙
やはり何度見ても素晴らしいの一言です。
チューリップかどうか自信ありませんでしたが、裏表紙見る限り間違いなさそうです。
花言葉も色々考えていましたが、ストレートに『照れ屋』でいいのかなと。
にーさんだけを見つめてる照れ屋な女の子、それが妹。

ピンナップ表
かわかわええええ。
上巻でも何度も思ったし今回も何度も思いましたが、やっぱりどうしようもなくマユを思い出してしまいます。

「幸せなら、笑って」

どぅへへ(台無し)

ピンナップ裏
電撃文庫MAGAZINEに掲載された第1話のイラストですね。
改めて見ると結構細部のデザインが変更されているのがわかります。
特に髪型と髪色が顕著です。それはさておき、めんこい。

『前編のあらすじと後編のネタバレ』

本当の本当にこれがすべてだったの巻。
忙しい人のための3行いもーとらいふ。

26

あれ、もしかして買う本間違えた? と一瞬思ったのは私だけじゃないはず。
確かにこれは妹ちゃんのイメージにそぐいませんね。
しかし、作中作であっても滲み出る入間節。
特に夜空を見上げるシーンは入間さんの顔しか浮かんできませんでした(末期症状)

ここからは試し読みと重複するので、そちらは以下をお読みください。

いもーとらいふ〈下〉試し読み 感想

そうそう、坂の上の大学こと名城大学前の郵便局、建て直しで取り壊されちゃったんですよ。
この前通りがかったとき、それはそれはびっくりしました。
こうやって記憶の中の風景と現実の風景が変わっていくのを見るのは寂しいものがありますよね。
それはそうと、入間さんはどうやって建て直しのことを知ったんでしょうか。
わざわざこっちに来るとも思えないので、誰かから教えてもらったのかな、多分。

変わらないのは未熟であることだけだ。
成長しない未熟を抱えて、大人になってしまった。
孵らない卵は、永遠の希望を抱きながら腐っていく。

う゛ーぐさぐさー。

にーさんは何かを残すの何か=子孫という考えですけど、それは違うんじゃないでしょうか。
動物や植物だったらその通りなんでしょうけど、人間には別のカタチで残せるものがたくさんあります。
現に入間さんはご結婚されるおつもりがないそうですが、もう既に数多くのものを残しています。
作品はもちろん、『入間人間』という名前は未来永劫とはいかないでしょうが、長い間残り続けるものです。
まぁ、にーさんの場合、自分もしくは妹が死んだら何も残らないのは純然たる事実ですね。

猿子! さぁるこじゃないか!
よし、これで不明だった『虹色エイリアン』の時系列が分かる! と思ったのも束の間、元々猿子の年齢不明だった!
しかも、学生なのかどうかも分からねぇ! お手上げじゃん!
ところがどっこい、『27』で隕石が落ちてきたことを思い出す描写があったので、そこそこ最近の出来事だと考えて良さそうです。
『26』は2028年頃なので、そこから数年前辺りではないかと。
ただそうなると『安達としまむら』でヤチーにライオンパジャマをあげたときの猿子が小学生ぐらいになってしまいますが……猿子、謎多き女です。

不思議系淑女猿子さんの人生相談のコーナー! わ~ぱちぱち~!
全文引用したいくらい良いこと言ってるんですけど、どうしちゃったんだ猿子! と思ったらカナエの受け売りでしたか安心安心。
まさかのイラストまであって、しかもちゃんと猿子猿子してて、私はっ私は! フライさん大好きっ!!
というわけで、ゆるふわパジャマガール猿子さんの地球を救う八面六臂の大活躍を描いた『虹色エイリアン』電撃文庫より大好評発売中!

良くも悪くも忘れたくないたくさんの思い出。
嬉しかったこと、悲しかったこと、綺麗だったもの、愛おしかったもの。
全部、ここにあったから。
引っ越さなかったのは予想が外れましたが、ここに至るまでの過程が素晴らしかったのでそんなことはもうどうでも良いのです。
入間家が鎌倉県に引っ越さなかった(推測)のも、そんな思いがあったから、あるからなのかもなぁなんて。

なんかもうここまで来ると気持ち悪い通り越して逆に微笑ましく思うのは私だけ?
なんていうか、初期の頃のバカップルばっかり書いていたいるまんを思い出すんですよね。
血繋がってますけど? それがなんだ文句あんのかー! と開き直られてもう何も言えなくなったような心境です。

いもうとにっき

上巻の感想にも書いたようにラストに数ページくらい妹視点があったらいいなーなんて期待はしていましたが、まさかこんなにガッツリページを割いてくれるとは。
ほぼ半分妹パートですからね、太っ腹。

そんな待望の妹パートだったわけですが、肝心の内容は……想像通り過ぎて「やっぱり」と「だよね」の二言でほとんど片付く感じでした。
もちろん、想像通りだったことを確認することが出来たのはすごく大きいんですけど。
以下、過去の感想から抜粋。

今作は兄視点オンリーで妹が本当は何を思っているのか分からないという少し怖い部分もあるのですが、それはきっと杞憂で、掛け値無しに妹の世界はにーさんを中心に廻っているんじゃないでしょうか。

この子の世界にはにーさんとにーさん以外の人間の2種類しかいないんですね。

大学生になった兄が自分に何も言わず家を出て行ったとき、兄のいない高校生活3年間、妹は何を考えていたのか。
兄視点ではあまり考えていないようなイメージが付き纏いますが、その実、兄と同じかそれ以上に色々と思うところがあったんじゃないかと思います。
見た目はアレですけど、きっと妹の方がにーさんより遥かに聡く、にーさんが考えるようなことは妹もとっくに承知のはずなんです。
自分たち兄妹が世間からどんな目で見られるのか。
それを承知でにーさんの隣にいるのは、今も変わらず妹の世界がにーさんを中心に廻っているからなのでしょう。

今作は兄視点のみなので兄の歪さばかりに目が行きがちですが、この兄妹の関係は片方だけでは絶対に成立し得ないものなので、それはつまり妹も同じぐらい歪んでいるということに他なりません。
むしろ、妹の方が重症だと思っているくらいです。
容姿はともかく、兄に対する振る舞いは天然ものではないでしょう。
第3話の感想ラストと被りますが、意識的にしろ無意識的にしろ、兄の望む妹を演じている節があります。

妹も妹で、自分には兄がいないとダメだとほとんど無意識レベルで思い込んでいる節があるというか、あえて庇護欲をそそる存在のままでいようとしているように見えるんですよね。
お互いがお互いにお互いの望む兄像、妹像を演じていると言いますか……演技って言うとまたちょっとニュアンスが違う気もしますけど。

まったくこの通りだったなぁと。
全然予想外の人物像で削られまくったライフに止めを刺されるのも覚悟という名の期待をしていたのでちょっと残念な部分もありますが、本作はこれでよかったんだと思います。いや違う、違うな、こうじゃなきゃダメだったんだと思います。
だってこれはいもーとらいふであると同時ににーさんらいふでもあるんですから。

兄視点で妹がかわいいのは当たり前ですが、妹視点でもめちゃくちゃかわいいんですけど!
これが、これこそが正真正銘のかわいさというやつか……!
にーさんの方から声をかけてもらおうとうろうろする策士な妹ちゃん(2年生)かわいい。
ゲームに勝って得意そうなにーさんを見て嬉しそうな妹ちゃんかわいい。
ちっちゃいのにちょっぴり哲学の香りを漂わせる妹ちゃんかわいい。
にーさんよりおっきくなるのがもくひょうなちっちゃな妹ちゃんかわいい。
ほめられたくて強いて言うとがんばってる妹ちゃんかわいい。
初めて制服を着てわたし大きくなった! とはしゃぐ妹ちゃんかわいい。
最初は冷めた感じだったのにズッ友だょって言われて初めての友達が出来た妹ちゃんかわいい。
一緒の学校に通いたくてにーさんに留年してほしそうな妹ちゃんかわいい。
年甲斐もなくはしゃいでも外見相応にしか見られない妹ちゃんかわいい。
家を出て行ったにーさんに追いつくために前向きにがんばる妹ちゃんかっこいい。
二人暮らしに備えてお母さんに料理を教えてもらう妹ちゃん健気かわいい。
いきなり押しかけて歓迎されていない? とちょっと不安になるも、すぐに受け入れてくれるにーさんすてきな妹ちゃん現金かわいい。
彼女からにーさんを取り返し勝ち誇る妹ちゃんこわ、じゃなかったかわいい。

祖母の葬式に際して考えていたことがほぼ同じで、なんかすごく兄妹を感じました。

妹の兄に対する絶対的な信頼。
ひまわりの前で友達の誘いを断ったのも大きな分岐点だったんですね。

にーさんがそれを望むなら、わたしはもっとだめになってもいい。

この兄にしてこの妹あり。
いや違う、違うな。むしろ、この妹にしてこの兄あり、が正確かな。

妹ちゃんは強すぎますね。世界が強固すぎます。
ここもマユを思い出すポイントなんですよね。
欲するものが明確で、それ以外何も要らない。
2人共それが徹底しています。
でも、マユのような絶世の美少女とはいかなくとも、妹ちゃんも相当容姿は優れているので自然と向こうから声をかけられそうなものですが、そこらへんはどうだったんでしょうか。
話しかけられていたとしても妹の中では書くに値しない出来事としてカットされてるんですかね。

「にーさん、ただいま」

不覚にもちょっとほろっときました。

だからにーさんが、『間違えても』不思議じゃない。

と思ったらこれですよ。
自分以外の誰かを大事に思うことを『間違い』だと。
何の疑いもなくそう思っているのがまた……ブラコンここに極まれり。

かった。

第一部完!
ペロっと舌とか出してそう。めっちゃ出してそう。
ここに関してはかなり賛否が分かれそうですが、個人的にはこういう強かな子は好きです。
腹黒? かわいけりゃいいのです。かわいいは正義なのです。

編集者さんが投稿作を褒める度、内心、えぇーってなっていた。
書いたものにそんな意図はないし、その伏線は偶然だし。
作品を初めて投稿した翌年、わたしは運良く受賞して小説家となるのだった。わたしの狙い通り、そんなに面白くない話は見事に世間の評価を得た。どこが面白くないかというと、わたしの価値観に反することばかりだった。思想の面で、嘘に嘘を重ねて塗りたくっている。
でもそれが甲高い声で褒めちぎられる。
世間はこういう風なんだなあと思った。だから、好きになれないとも悟る。
自分らしくあるためには、それに反逆していなければいけない。

別にこれは妹の心中であって、入間さんがこう思っているってわけじゃないんだ。いくら自作小説には細かく自分が宿ると言ってもなんでもかんでも結びつけるのは自分の悪い癖だし、そもそも入間さんは受賞してないじゃないか。みーまーが少し面白くない作品として投稿されたなんてことあるわけないんだようん(自分に必死に言い聞かせるの図)

おそらく、妹が怒る唯一のタブー。
にーさんについて聞き捨てならないことを言われること。
やっぱりここもマユを思い出しちゃうんですよねぇ。
まぁ、マユは他のことでも沸点低そうですけど。

にーさんが嘘をついていて、苦しんでいるのには気づいていても、その原因が自分にあるとは微塵も思っていないのがまったくもって妹気質だなぁと。
でも、それに気づくことはレゾンデートルの喪失を意味します。
もし分かっていても自分自身に分かっていないフリをするしかないのでしょう。

にーさんにーさんにーさんにーさんにーさん……………………にーさんで始まり、にーさんで終わる人生。
それがわたしのにーさんらいふだ!

27

そういえば、本作は手記のような形式で書かれていましたが、それを利用した仕掛けは特にありませんでしたね。
本作が実は妹が書いた『にーさん日記』だったってオチも仄かに予想していたのですが、考えすぎだったようです。

すべては兄に褒められたいがために。
がんばってがんばって立派になった妹と。
妹に人生のすべてを捧げたがゆえに。
いつしかあらゆる面で追い越されてしまった兄。
そして、なけなしの自尊心を捨て、妹を賞賛する兄の姿。
彼の胸中に渦巻く複雑な思いを想像すると、上巻のようなえぐさこそありませんが、それでもやはり漂う哀愁に胸をぎゅっと締めつけられます。

このバカップルめ! この新婚さんめ!
みまみましすぎるんですよこのやり取り!(食い気味に
っていうかスキンシップがやや過剰になってきてますよね。
これで間違いが起きていないのは偏に妹ちゃんが成長しなかったおかげですわ、ええ本当に。
そんなイチャコラムードを破る、実家からのテレフォンコール。
これがおそらく、最後の分岐点。
ここで躊躇いなく電話を切る妹強い。強すぎる。
それが最善であるという確信。
2人で生きていくために。2人だけで生きていくための正しい選択。
そして、そんな妹を前に同じ結論に至るにーさん。
友を捨て、恋人を捨て、世間との関わりを捨て、両親さえも捨てて辿り着いた境地。
真実の愛が、そこにはあった。

プロポーズに対する妹の返答で完全に吹っ切れたにーさん。
自分にはもう熱情も燃やすものも何もないと思っていた。
でも違う、違ったんだ。
これまでに失ったものすべて、これから失っていくものすべて、愛しの妹と2人で生きていくための薪だったんだと。
ここですかさず、くーまんを挟んでくるのは卑怯。
こんなん涙腺に来るに決まっとるやん。
でもきっと、妹ちゃんは忘れていない、覚えていると信じています。
だってくーまんは妹ちゃんにとって唯一の友達なんでふよ?

たった二人で、生きていく。
それが当たり前である妹の強さが、心底、羨ましかった。

ここもめっちゃみーまーでした。
妹ほど極まれないにーさんがマユを羨むあっきゅんそのものです。

控えめに言ってバカップルですね。紛うことなきバカップルです。
とここで、にーさんは月日を重ねれば重ねるほど酷くなると考えていますが、果たしてそうでしょうか? と疑問を呈したいので呈します。
知り合いさえいなければ、客観的に見て兄妹だと分かる人もいないでしょうし、傍からは仲睦まじい夫婦にしか見えないのでは? と思わずにはいられないわけですよ。
仲睦まじい老夫婦を見て、悲惨な気持ちになる人がいるでしょうか?
むしろ、心がぽかぽかしますよね。
当人たちが幸せで、周りの人から見ても幸せそうに見えるのであれば、何も問題ないと思うんだけどなぁ。
というようなことを考えながら読んでいたのですが、

「あー気持ち悪っ!」

知り合いいたー! 彼女きたー!
それはそれは見事な素晴らしい不意打ちでした。
今回、ぶっちぎりで一番好きなシーンでもあります。
彼女が再登場してくれたこと、子供を連れていたこと(歩ける歳ということは上巻ラスト時点で既に生まれていたと考えるのが妥当でしょう。声かけなくて本当よかった!)、無視せずに反応してくれたこと、相変わらず棘全開だったこと、彼女なりの優しさを感じたこと(これは私がそう思いたいという願望が大きいだけですが)、あのときお互いにちゃんと言えなかった別れの挨拶のようにも聞こえたこと(これもほぼ願望)。
一気に色んな思いが溢れてきて、泣きそうな顔で笑っていました。
それぞれが選んだ道を、お互い振り返ることなく真っ直ぐに。
吹っ切れたにーさんの前向きは力強いです。

冒頭と同じフレーズになっているのは特に意味はないんでしょうけど、なんか気になりました。
私が気づいていないだけで何か仕掛けがあったりして?
それと結局、彼女の知り合いのロリコンに偏見をお持ちのお嬢様の正体は分からず仕舞いでしたね。無念。

30

30歳でこれかぁ……入間界の年齢詐欺ランキングは女々さんが永久にトップの座に君臨すると疑っていませんでしたが、この様子だと「わたし、40歳になった」ときもほとんど変わっていなさそうな気さえしてきます。
まぁ、女々さんは日々若返っているのでやはり勝ち目はなさそうですが。
閑話休題。
ああ、そうか、受賞すると式に呼ばれて写真が公開されてしまうんでしたっけ。
で当然、そっちでも注目されると。
この様子だとサイン会は全部辞退したんでしょうね。

カイショーぶれないなカイショー。

完全に吹っ切れたと思いきや、未だにくすぶっているにーさん。

実際、俺は中途半端に踏ん切りつかず、これからも悩んで苦しんで諦めて。
それでも最後には開き直れるだろうと、信じたい。

この先10年、20年、30年。その先もずっと。
妹と一緒にいる限り、終わることなく苦悩は続く。
それでも。
心安らげる場所はもうそこにしかないから。

寒空の下、手を繋いで歩く兄妹の後ろ姿がこんなにも涙腺に響くのはなぜですか?
フライさんが良い仕事し過ぎだからですね、わかります。
そして、思い起こすのはみーまー2巻ラストでしたとさ。めでたしめでたし。

87

どちらかの最期の場面でしょう。
おそらく、にーさんではないかと思います。
90歳、大往生ですね。
残された方のことを考えると胸が張り裂けそうになるので、それについてはあえて触れないスタンスで。

あとがきの感想を先取りしますが、当初の構想通り爺婆になるまで、なってからをねっとりじっくり読んでみたかったです。
お互いに老いて、枯れて、醜くなっていく中、それでも変わらずくっついている異常さ、歪さ、悲惨さ。
絶対に面白くはないでしょう。
もう読みたくない読みたくない、もうやめてやめて。
そんな読書が楽しいわけはありません。
でもね、強烈に心に残るのってそういう作品なんですよ。
上巻がまさにそうだったように。
それから、個人的に両親との死別はぜひとも描いてほしかった、無念です。
でも、そもそも電撃文庫でそれをやるのは無茶な話(30歳まででもかなり無茶をしていますが)なので、仕方ないかなと思う部分もあります。
それに大事なのは過程ではない、結果なんだと。
例えそこに至るまでの間にどんな悲惨な出来事があったとしても。
今際の際に「満足だ」と思える人生以上の幸福ってありますか?

総評

えぐさを極めた上巻の放置プレイから2ヶ月。
相当な覚悟を決めて臨んだのもあって、正直、拍子抜けした、というのが読み終えた後の率直な感想でした。
え、これで終わり? みたいな。
妹視点含め、ほとんど想定の範囲内で収まっていたのも物足りなさを感じた要因でした。
ただ、感想を書くにあたって頭からじっくりと読み返してみると、上巻のようなえぐさこそないものの、やはりそこかしこににーさんの言い知れない苦悩が滲んでいて、内臓をゆっくり握られているような不安感が拭えなくなりました。
猿子との出会いで、妹の迷いなき一言で、悟りを開いたように、吹っ切れたように見えたにーさんでしたが、果たして完全に開き直ることはできなかったのだと思うと喉の奥が苦しくなるのです。
30から87までの67年間。
悩み苦しみ諦めて。
愛し愛され寄り添って。
残念ながらその過程は描かれませんでしたが、だからこそ想像の余地があって。
最期に看取られているのか看取っているのかは定かではありませんが。
その死に顔はきっと。



にーさんが救われた本作は紛うことなきハッピーエンドだったと思います。
いや違う、違いますね。
救われたのは私か。
少なくとも私の目にこの物語は完全無欠なハッピーエンドに映りました。
救ってくれて、ありがとうにセンキュー。

あとがき

入間史上最長でしたね!(あとがき小説を除く)
あとがきは5冊に1冊とかでいいので、毎回このくらいの文量だと嬉しいなーと思いました。

あえて作中小説にはノータッチでしたが、なるほどそういう試みだったんですね。
自ボツ小説の冒頭を載せてページ稼ぎしているなんて考えてないですよ? マジマジ。
全ボツくらったからこんなに薄くなった気がしてなりませんが、真実はいかに。
まぁ、これに関しては編集さんの判断が全面的に正しいと思います。
もちろん興味は惹かれますけど、本作の中で作中作をやるのは違う気がします。
それにどれも冒頭だけで中途半端なのでモヤモヤするんですよ!
さながら序盤だけ書いて放置されてるWeb小説を読まされているような気分なんですよ!
試み自体はすごく面白いと思うのでやるのであれば、作中作としてやるのではなく、1冊の本として出してほしいかなと。
バカ全裸は素晴らしい作中作ですが、ああいう仕掛け抜きに丸々妹が書いた小説という設定の本を出す、いいと思います。
というわけで今年のクリスマスプレゼントは『流れ星に寄り添って』、いい子にして待ってます。

作者がラブコメって言ったらそれはラブコメなんですよ、多分。

さらっと書いてますけど、バナナの味が思い出せなくなったって辛すぎませんか?
常にバナナケース持参してるくらい好きだったのにですよ?
入間さんが平気でも読んでいるこっちが辛いじゃないですか。
こうなったら入間さんの分も私がいっぱいいっぱい食べるので安心してください!(そんなバナナ話があるか
でも、そんな悲劇も創作の糧になる、なってしまう。
嬉しいような、悲しいような、難儀な生き方ですね、小説家って。

FF延期は本当許せんですよね!!
こっちはどんだけ楽しみにしてたと思ってんじゃ!! と普段は温厚な天野さんも久々にマジギレですよマジギレ。
まぁ、本当の理由がPS4 Proに対応させるためだったというなら許せないこともありませんけど。
入間さんがデビューする前から、10年も待っているんですから、可能な限り最高の環境で遊びたいですしね。
それはそうと延期が発表されたのが8/15ということを考えると、本当にギリギリで書き足したんだろーなーと。
本当人騒がせなゲームですよ、FFXVは!
いるまんもFF楽しみにしてるみたいで嬉しいなどぅへへ。
ペルソナはスルー予定だったんですけど、FFが延期したので買うことにしました。

「でも、税抜きなんでしょう?」とツッコみたくなる新型PS4のCM大好き。

奇声で行数稼ぎ、ありだと思います。
理想はエリオのふもっふ語みたいに頑張れば解読できる奇声ですね。

本作のテーマは『近親愛』ではなく『生き甲斐』だったということでしょうか。
永遠に続くと思っている当たり前の日常もいつか必ず終りが来る。
限りある生の中で自分にとって生き甲斐とはなにか、幸せとはなにか。
それを考え続けるのが人生なのだと。
にーさんは答えに辿り着けたんでしょうか。着けてたら、いいな。

何その斬新な想像の余地残し。
でもちょっと素敵やんって思っちゃう自分が悔しい。

著者近影
いるクまの中からなんかどざえもんみたいなのがでろってるんですけど!
普通にこえーよーこれ見て泣かないハルくん怖いもんなしかよー

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Comments

GガンダムのBlu-rayBOXを買うために節約してたので中々換えてなかったんですが思ったよりやすかったのでやっと下巻も買えましたよ!
たしかに天野さんの言うように上巻から予想してるともっとえぐい感じになるかと思いきや最近流行りのの白いるまんでしたね笑

いもーとらいふが電マガで始まったのがついこの前だと思ってたんですが終わっちゃいましたねぇ…
いもーとらいふより前にやって某ゴミ箱の話も終わらせて下さいお願いします笑
Posted at 2016.10.03 (22:35) by No.39 (URL) | [編集]
Re: No.39さん
約7万で思ったより安かったんですか……No.39さんってもしかしてセレブ?
白ってほど真っ白ではなかったと思いますけど、上巻に比べると驚きの白さでしたね。

第1話が去年の2月なので、1年半以上経っているはずなんですけど、なんかあっという間に感じますね。
某のゴミ箱は個人的にはあれで区切りついているので「早く続き出してくれ!」という不満はないですが、最高に面白かったので出してくれるなら早く出してくれることに越したことはない、要するに「早く続き出してくれ!」って感じです。
Posted at 2016.10.06 (04:50) by 天野寂 (URL) | [編集]
はじめまして!
調べたら黄色いチューリップは「望みの無い恋」「報われない恋」という意味があるらしいです。
もしかしたらこっちの意味かも知れませんね!
Posted at 2016.12.18 (14:05) by (URL) | [編集]
Re: 犬さん
はじめまして。
コメントありがとうございます。
お返事が遅くなっていしまい、申し訳ありません。

実は私も一度そちらの意味なのではと検討したのですが、個人的に本作に“恋”的な要素があったかと言われるとはっきりないと思うので見送ったんですよね。
それに私にはこの二人が報われなかったとは思えないので、その意味は当てはまらない気がします。
紫色の花言葉『不滅の愛』だったらぴったりだったかもしれません。
Posted at 2017.03.04 (03:37) by 天野寂 (URL) | [編集]
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