魔界探偵 冥王星O ホーマーのH 感想

犯人はヤスレベルの致命的なネタバレありにつき注意。
後であらすじについてちょっとだけ触れるので珍しくあらすじを載せておきます。

尋常ではない剛力で、心臓をくりぬかれた複数の死体。異常にして不可解。無情にして不条理。非常にして不可思議。混迷を極める事件に俺――【冥王星O】は調査を開始した。謎の鍵を握るのは、【涙を流す女】と【傅く女】、そして俺に襲いかかる、奇妙な【右手を隠す男】。だが、何故か俺はこの男を憎むことができない。追いかけるほどに、霞がかる事件に、ただ呑み込まれる俺。終幕に待ち受けるのは、勝利か、敗北か、それとも……。




『魔界探偵 冥王星O ホーマーのH』読了。

すごく面白かった!っていうほどではありませんが、それなりに楽しめました。
Vの世界観を忠実に引き継いでいて、続編という位置づけがしっくりくる内容でした。

明言はされていませんが、ちょこちょこある描写から今回の【冥王星O】はVの【冥王星O】と同一人物だと思われます。
ほぼ間違いないとは思うんですけど、ヴァイオリンに対する執着が感じられなくなっていたのが、ひとつだけ引っかかるとこでもあります。
さらっと仄めかされてはいましたけど、しっくりこないカンジ。
時系列的には恐らくVから6~9カ月後、なのかな。
【傅く女】に初めてあったのが半年前、最後のここ数カ月で培ったものも云々、という記述から判断して。

個人的に結構キャラがぶっ飛んでいた【傅く女】が良かったです。
いきなり最上位土下座で登場して、まさに逆ハンコック状態。
特製ミートローフを食すという、助言を得る為には欠かせぬ儀式。

「今日のはなにが入ってるんだ?」
女はきっぱりと答えてみせた。
「この女の陰毛と爪、あなた様を想って吐いた血と、下した卵を込めてございます」
「なるほど」
吐き気以外のもので喉の通りをよくしようと、俺はつぶやいた。
「今日は良かった。嵩のないものばかりで」


いつもは一体全体なにが入ってるんでしょう?
ちゃんとごっくんした【冥王星O】エライ。
ずっと、実は【傅く女】=【ママ】なんじゃないかと期待していたんですけど、最後あれ消されちゃったんですよね?
気に入ったキャラだけに残念です。
てか20万人も消すとか【彼ら】の凄さを甘く見てました。スケールでかすぎ。

【右手を隠す男】の身体から蟻を出す能力。想像すると鳥肌が立ちました。
『ホムンクルス』の砂人間の蟻バージョンっていったら分かりやすい、かな。
虫とか結構好きですけど、うじゃうじゃいるのを見るとぞっとしちゃうあの感覚。
【冥王星O】は彼をあいつは俺だ。と自分と重ね合わせます。
立場は違えど、置かれた境遇は確かに似ているものがあります。
【冥王星O】がヴァイオリンの為に頑張っている(本作ではほとんどそういう感情は感じられませんでしたが)のに対し、【右手を隠す男】は全て、愛する【ママ】の為に。
【彼ら】であるのが父親か母親かという違いはあるにせよ【右手を隠す男】も【窓を作る男】同様、【彼ら】とのハーフという存在です。
ですが、【窓を作る男】が『愛』を持つか否かが【彼ら】と人間の違いとするならば、【右手を隠す男】は紛れもなく人間であると思いました。
【冥王星O】が【右手を隠す男】にお前は【ママ】にコケにされた、利用されているだけだと両者とも分かり切っていることを承知しながらも、憐れみの言葉を投げかけます。
それに対して彼、【右手を隠す男】はこう返します。

「だけどそのほうがいい。【ママ】が俺をひどく扱って、俺がそれを喜べば、愛し合うよりももっと長持ちする愛だ。俺の愛だけで永遠に続けられる。【ママ】が俺を愛しているかどうか、信じる必要すらなくなるんだ」


歪かもしれないけど、この真摯な想いは一途好きな自分の目にはとても綺麗なものに映ります。
これぞまさに究極の片想い(素敵)
この愛はどこまでも一方通行。でもだからこそ、果てが無い。愛は宇宙だ。
そしてラスト【ママ】に貰った名前、【流れ星ヒュー】。
このネーミングセンスには舞城さんを彷彿とさせられますw
世界観の設定とかもそうですけど、この名前も舞城さんが考えてるんでしょうか?

「ホーマー」は外国のアニメキャラから取ったって書いてあったんですけど、元ネタが分かりませんでした。
シンプソンズしか出てこなかったんですけど、これは違いますよね?
【四本指の男】ではなくて【四枚舌の女】だったのは中々以外でしたけど、殺人動機が人間の心臓しか食べられないというありきたりなものであっけなかったのが残念でした。

今作での【窓を作る男】はシニカル度高しで人間臭さも強かったです。
まぁ、出番ほとんどありませんけど。

越前魔太郎、気になる中の人ですが……今回、全くわかりませんでした。
あらすじからユヤタンもとい佐藤友哉さんっぽいなーと期待していたんですけどねー、見事に違いましたー。確証はないですけど、多分違います。
噂では今作『ホーマーのH』は秋田禎信さん、前に感想を書いた『フィータスのF』は相生生音さんという情報がありました。
秋田さんは一度も読んだことが無いので何も言えませんが、相生さんは大分前に『泣空ヒツギの死者蘇生学』という作品を読んだことがあり(完全にPN買いでした)、魔太郎インタビューにもそれらしいキーワードがあったので、その可能性は高いと思います。
思うんですけど、はっきり言って前読んだ『泣空ヒツギの死者蘇生学』はとにかくつまらなかった記憶しかなくて、文体も下手で読みにくかったっていう酷評三昧の感想が残っています。
でも、『フィータスのF』は惹き込まれたので、もしこれが本当ならかなり成長されたなぁと感慨深いです。

では最後、あらすじについて。
あらすじ詐欺だ!とちょっと思いました。
だって【涙を流す女】なんて作中には一度も出てこないんですよ?
まぁ、読めば普通に城嶋真百合のことだと分かりますけど。
あと、表紙の女性=【涙を流す女】だとすると同じように考えて城嶋真百合になりますけど、自分的には表紙は【傅く女】っぽいなと思いました。【ママ】でもいいです。なんとなく、日本人ぽくは見えないからというのが主な理由です(オイ

もう『ペインのP』も読み終わっているので、そちらの感想もすぐに書いちゃおうと思います。

Leave a comment

Private :

Comments

- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
07 09
発売カウントダウン!
入間人間著作一覧
7/7更新

刊行年月日順リスト

シリーズ別著作リスト

刊行予定リスト
天野寂のお気に入り
Profile

天野寂

Author:天野寂

“あまのじゃく”と申します。
読書メーター始めました。

このブログについて

Recent Entries
RSS
Recent Comments
Categories
Archives
FC2カウンター
RSSリンクの表示
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

QRコード
QRコード